京都市内では最も高い建物と言えば、京都タワーです。開業から52年ものあいだ街を見守ってきた京都のシンボルでもあります。京都へ行ったことのある人なら誰もが目にしたことがありますよね。
でも、実際にのぼったことはありますか?京都通でもあり、 前回は京都にある首途八幡宮を紹介してくれたライターの御田さんによると、市街を360度見渡せる京都タワーこそ穴場スポットだそうです。京都タワーの高さが131メートルになった理由についても触れています。
古都の街中にそびえ立つ京都タワーへ
京都にはいわずもがな、観光スポットが多数点在している街。テーマを決めるか、エリアを限定して回りたいものですね。
さて、見どころたくさんの京都に月1、2で通っていますが、誰もが知っているシンボリックなスポットにもかかわらず、それまでスルーしていた場所があります。
それは、JR京都駅烏丸中央口に向き合うように建つ、白い円筒型の京都タワー。
高さ131メートルの塔は、遠目には燭台に直立不動で立つ白いロウソクのようにも見えます。東京スカイツリーの634メートル、東京タワー332.6メートルと比較すると、半分にも満たない高さ。けれど、京都市内では最も高い建物なのです。現在、開業から52年。
それまで全く関心のなかった古都のランドマークに初めて上ってみようと思ったのは、京都タワー展望室のチケットをいただいたことから。
こんなことでもないと一生上ることはないかも!?などと、まったく期待せずにエレベーターに乗り込み、地上100メートルの存在する展望室へ。しかし……期待を裏切られました!もちろんいい意味で。
海のない京都に街を照らす灯台をイメージしたという塔の展望室からは、京都市街地が360度ぐるりと見渡せるのです。しかも5階の展望室にある望遠鏡は無料。
「京都市街地が下界に!」
などと宣ったら、「七九四(ナクヨ)ウグイス平安京」と覚えた平安京を遷都した桓武天皇をはじめとする、いにしえの人たちに怒られそうですが、目の前をさえぎるものがなく、古都をじっくりと上から眺めるのって、新鮮で楽しい。
なんといっても解放感が全身にみなぎっていく!
しかも、私が訪れた午前の時間帯は意外にも人が少なく、あちこちに移動して街が臨めました。
真下に見える西本願寺、東本願寺をはじめ、観光スポット満載の京都だから、点在する観光地や好きな神社仏閣を探す楽しみがここにある……。眼福にあずかるとはこのことでしょう。
わかるところでいえば、豊かな緑が盛り上がっている京都御所。
五重塔の東寺。
この日は見ることは叶いませんでしたが、晴れた日には大阪城までも臨めるそう。
そもそも、この京都タワーのある京都駅周辺ははるか昔、平清盛の弟、平頼盛や清盛の三男、平宗盛らの屋敷が存在していたこともあり、そして時代は一気に近代に移りますが、明治時代には農村地帯でした。
明治39年には郵便局舎が現在の京都タワーのある場所に完成し、その後、府内の郵便を統括する京都中央郵便局がつくられたものの手狭になったため、新築移転が決定。
その跡地に京都の産業観光を担うビルが作られたことが、京都タワーに誕生につながります。塔の高さが131メートルに決定したのは、当時約131万人だった京都市の人口に由来するとか。
2014年には京都タワー開業50周年を記念して、キャラクター「たわわちゃん」をモチーフにした「たわわちゃん神社」も誕生した京都タワーの展望室の階下は雑居ビル然としていますが、実は観光客には「使える」スポットでもあるのです。
京都のスイーツなどのお土産が揃う名店街のほか、レストランやバーもあるし、地下には朝7時から営業する大浴場も備えています。
また、今年9月1日より、15パターンのカラーの中から30分間、好きな色を選んでライトアップできる「京都タワーLEDカラーライトアップ」サービスがスタート。
これはお誕生日、プロポーズなどのサプライズイベントとして需要がありそう。
朝、京都タワーで古都の展望を楽しんだ後は、日中、観光スポットを巡り、帰りは京都タワーに戻って、地下の湯浴みでシメる……という旅のプランはいかがですか?
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