県民がそわそわしだす秋。すべて見るまで7年かかる「長崎くんち」

妻で漫画家の大原由軌子とメルマガ『大原さんちの九州ダイナミック』を共同配信しているライターの大原広軌です。

一家で東京から長崎県に移住し4年半、年を追うごとにこの時期のそわそわ感が増してきています。と言うのは…、「長崎くんち」がもうすぐそこまで迫ってきているから。

長崎くんちとは正しくは長崎市に鎮座する諏訪神社の例祭で、毎年10月7日〜9日までの日付決め打ちで行われる県内最大のお祭りです。

「くんち」という名の由来は諸説ありますが、「九日(くんち)」や「供日(くにち)」からきていると言われています。

開幕までひと月を切った今、各放送局のローカルニュースで「くんち情報」が流されない日はありません。そんな県民が心待ちにしているソウルフェス、写真とともにご案内いたしましょう。

すべて見るまで7年かかる、長崎最大のイベント

今を遡ること380年あまり、三代将軍徳川家光が世を治めていた寛永11(1634)年に、二人の遊女が諏訪神社神に踊りを奉納したことが始まりとされる長崎くんち、現在は市内43の町が5〜7町に分けられ、7年に一度演し物を奉納するシステムとなっています。

つまりはすべての町の演し物を見るには最低7年かかるという計算ですね。ちなみにその年に奉納を行う町は「踊り町」と呼ばれ、今年平成27年は新橋町、諏訪町、新大工町、金屋町、榎津町、西古川町、賑町が当番を努めます。

こちらが諏訪神社。長崎市民から親しみを込めて「お諏訪さん」とも呼ばれるこの社、当日は73段の階段がそのまま観覧席となり、以下の様な大盛況状態に。

くんちといえば「龍踊(じゃおどり)」です。今年の踊り町・諏訪町をはじめ複数の町が奉納しているので毎年のように見ることができるこの演し物、元は市内の唐人屋敷で行われていたものを、隣接する本籠町(現在の籠町)の住民が習い奉納踊としたそうです。


見事な龍使いもさることながら、長喇叭(ながらっぱ)や大銅鑼(おおどら)が奏でる龍囃子と炸裂する爆竹は異国情緒、迫力ともに満点で、自分自身初めて見物した際にはなぜか涙が溢れてきました。そんな心を揺り動かす力が龍踊にはあるようです。今年は明治からの伝統を守る諏訪町が奉納します。

異国情緒といえば新橋町が奉納する「阿蘭陀万歳(おらんだまんざい)」も負けてはいません。

その名の通り、長崎に流れ着いたオランダ人が、生計を立てるために万歳を覚え正月の町を回るという筋書きで踊られるこの演目、万歳というだけあってコミカルな動きで会場の笑いを誘うのですが、祖国を遠く離れた日本で生活のためにおどけるという設定に、どことなく寂しさを覚えてしまうのは自分だけでしょうか。

2013年に栄町の奉納をテレビで見たのですが、龍踊とはまた違った感慨の涙を流しそうになってしまったことを告白します。

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