黒部ダム、外国人観光客で大賑わい。観光放水は6月26日から

日本一巨大な「黒部ダム」の観光放水が6月26日が始まります。メルマガ『あるきすと平田のそれでも終わらない徒歩旅行~地球歩きっぱなし20年~』の著者で、富山県に在住のあるきすと平田さんが本格シーズンが始まる前の黒部ダムの様子をレポートしてくれました。まだ閑散期だったにもかかわらずアジア系観光客で大盛況だったとのことですよ。

立山黒部アルペンルートに日本人はほぼいなかった

5月31日、東京からの友人ふたりと立山黒部アルペンルートに行ってきました。

一日じゅう雨の予報でしたが、実際は午前中だけ雨で午後から曇りときどき晴れと好転してくれたおかげで、残雪の立山連峰の景色や清々しい山気を満喫することができました。

5月末でも場所によってはまだまだ雪が積もったまま

ふたりはどちらも個人投資家で、資産額は一方が数千万円、もう一方が5億円だそうで、僕のように生活に困窮することもなく、スマホでちょくちょく株価の動向をチェックしながら平日でものんびり旅ができるご身分なのです。ああ羨ましい。

仮にふたりを千万長者億万長者と呼んでおきましょう。

千万長者のほうは僕の長年の飲み友だちで、大手新聞社を早期退職後、割増で支給された退職金を株に投資しています。億万長者のほうは初対面で、長いサラリーマン生活でやっとこさ貯めた100万円を元手に副業で株投資を始めたところあれよあれよという間に資産が膨れ上がり、とうとう4年前に会社を辞めて現在は株投資一本で生活しています。

それにしても100万円がたった4、5年で5億円に大化けするとは、いったいどんな博打相場を張ってきたのでしょうか。

いろいろ聞いてみましたが意外や意外、値動きの激しい流行りの仮想通貨もFXもやらず、日本株とアメリカ株の現物と先物の売り買いだけという堅実な投資の積み重ねでここまで来たとのこと。企業情報を小まめにチェックし、データ重視の投資法をずっと実践しているそうです。いわゆる一発屋ではないんですね。

なにかヒントを教えてください、とお願いしたところ、


「あのニュース番組がなんでもいいから株のニュースを取り上げた次の日は、銘柄はなんでもいいから買いなさい。ほぼ上がりますよ」

あのう、そんな安直な方法でいいんでしょうか。よしわかった、あのニュース番組だなと番組名を頭に叩き込んだところまではいいのですが、肝心の先立つものがない。全然ない。なのでいつか余裕資金ができたならば、あのニュース番組を見逃さないことにするつもりです。しかしそんな日がいつか訪れるのかはなはだ疑問なんですけど。

などと友人のことを書いているだけで字数が足りなくなるので、ここからは立山黒部アルペンルートについて書きますね。

交通費が日本一高いといわれる立山黒部アルペンルート。富山側始点の立山駅から、立山黒部貫光株式会社の運営するケーブルカーバストロリーバスロープウェイとふたたびケーブルカーを乗り継いで到達する黒部ダム。その往復運賃は10790円です。さすがに地元民でも年に何度も来ることもないし、僕も黒部ダムまで来たのは人生でこれが2度めか3度めですね。

しかし県外の友人が、来県ついでに行ってみたいというのであればおつきあいしますよ。

そして前回も今回も実感したのは、天候の悪い平日にもかかわらず立山駅から黒部ダムに至るまでかなりの数の観光客で賑わっていましたが、9割が外国からのお客さんだということ。

立山黒部アルペンルート最初の乗り物はケーブルカー。いきなりめちゃ混み
2番めの高原バスは雨と霧のせいで視界不良
4番めの乗り物のロープウェイも圧倒的多数の外国人ですし詰め状態
5番めの乗り物のケーブルカーは奈落の底へと落ちていく錯覚に陥る

富山空港には台湾からの直行便があるので、中国語で会話している人たちはたぶん台湾人のツアーでしょう。広東語の人たちは香港人でしょうか。英語と中国語をミックスしてしゃべっているのはシンガポール人? とにかく中華系の人たちが大半を占め、欧米人はひと握り、さらにハングルはまったく耳にしませんでした。

インバウンドが叫ばれている今日、交通費がバカ高いにもかかわらず、多くの外国人が富山県を代表する観光ルートに押し寄せてくれるのは、一県民として礼をいいたいほどです。

彼らは午前中は冷たい雨や雲のせいで立山連峰の絶景を拝めなかったにもかかわらず、手にしたスマホでありとあらゆる景色、乗り物、建物、食堂のメニュー、出てきたダムカレーやラーメン、おみやげなどを写メったりビデオ撮りしたり自撮りしたりしていた熱意が天に通じたのか、午後から彼らの望みどおりの晴れ間に恵まれました。

黒部ダムをバックにバカ顔で自撮り
黒部ダム最上部から186メートル真下を見下ろす。目がくらむ

黒部ダムのもっとも高いところは186メートルの高さがありますが、高所恐怖症の僕が怖いもの見たさで直下を見下ろしていると、たまたまそのあたりを通った女性グループのひとりから英語で声をかけられました。

「スマホのシャッターを押してもらえませんか?」

もちろん二つ返事でお受けしましたよ。ああ、どこから来たのか聞いてみればよかったなあ。

とにかく黒部ダムにこだまする言葉に日本語はほとんどなく、中華系の言葉ときどき英語という状況でした。

それでも僕たち3人も雄大な景色に見とれ、展望台から見下ろす黒部ダムのバカでかさに足がすくむおもいで、しっかりと立山黒部アルペンルートを楽しんでまいりました。

帰りのロープウェイは青空が顔を覗かせ、はるか下方に黒部ダムが見える

「次は、観光放水が見られてさらに黒部湖の遊覧船に乗れる夏場に来るよ」

友人たちはそう言い置いて東京へ戻っていきましたとさ。

  • image by:あるきすと平田
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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1962年4月13日富山県魚津市生まれ。横浜市立大学卒。大学1年で横浜から富山まで東海道・北陸道経由で18日間歩き、3年のとき東京深川から山形県鶴岡市まで23日間かけて奥の細道を歩いたことで、徒歩旅行の魅力にハマる。卒業後は中国専門商社マン、週刊誌記者を経て、ユーラシア大陸を徒歩で旅しようと、1991年ポルトガルのロカ岬を出発。おもに海沿いの国道を歩きつづけ、路銀が尽きると帰国してひと稼ぎし、また現地へ戻る生活を約20年間つづけている。

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