無人島なのに「沖ノ島」。なぜ? 房総半島の南側、内房に面する館山湾の一角に、ポツンと張り出した沖ノ島という陸続きの無人島が存在します。陸続きなのに「島」で良いのか? などと疑問に思う方もいらっしゃるかと思うのですが、この沖ノ島、元々は房総半島の沖合に浮かぶ小島だったのです。しかし、関東大震災による地盤隆起などの影響により、現在のような陸続きの姿になったのだそうです。つまり、元々は本当に「島」だったため、現在でもそのまま「沖ノ島」と呼ばれている訳ですね。
モンサンミッシェルのような海の道はSNSにぴったり
そんな沖ノ島、砂浜と森、そして岩場がギュッと凝縮された冒険アイランドなのです。まずは砂浜、これは、堤防で仕切られた駐車場を兼ねた岸壁から島までの約250mの道が、館山市の海水浴場として指定されている砂浜になっているのです。弓なりに形成され、内房の穏やかな波が押し寄せる砂浜は、水も綺麗な事より、大変人気の海水浴スポットです。そして、まるでモンサンミッシェルのような海の道と島の共演は、それだけでインスタ映えしそうな雰囲気があります。
そこはもう南国の秘境リゾート
砂浜を渡って辿り着いた沖ノ島は、様々な草木が生い茂る森であり、観光用の遊歩道が整備されています。沖ノ島は、周囲1kmほどの小さな島なので、遊歩道に沿って島中を歩き回ったとしても、1時間もかからずに歩き尽くす事ができます(あくまで遊歩道の範囲です)。また、沖ノ島自体にも、小さいながら砂浜が存在します。特に、島の先端側、地図でいう西側の海岸は、まるで南国の秘境リゾートのように、草木の生い茂る小道を抜けた先現れます。晴れた日には、その景色と波の音だけで、ゆったり1日過ごす事ができそうな雰囲気でした。
森の中に佇む神社
また、島を散策すると「沖ノ島宇賀大明神社」の旗を見つけました。そう、沖ノ島には、宇賀明神という小さな社の神社が存在します。人で賑わう砂浜や岩場(磯)からすると、ひっそりとした雰囲気のあるこの神社、誰がどのような目的で建てたのか、非常に気になりますね。
宇賀明神は、1096年(嘉保3年)に、京都からこの地に赴任してきた源親元が、地域産業の発展を願い、倉稲魂(うかのみたま)を御祭神として建立したそうです。ちなみに、倉稲魂は、農業、漁業、商業、における福神として信仰されている神様です。せっかく沖ノ島を訪れたのですから、参拝して行くと良いでしょう。
謎の洞窟があちこちに
遊歩道沿いには、観光用に建てられた休憩所やトイレの他に、何かの跡地のような残骸が存在します。なかでも冒険心をそそるのが、入口を封鎖された謎の洞窟です。しかも、私が散策した範囲だけでも、2カ所、同じような洞窟がありました。防空壕のようにも見えますが、暗すぎて中の様子は分かりませんでした。洞窟といえば、この沖ノ島には、海岸沿いに入れる洞窟も存在するそうです。冒険好きな方は、ぜひ、海岸の洞窟を見つけてみてください。洞窟のヒントは、遊歩道入口の案内看板にあります。
こんなところに鬼の洗濯岩?
また、岩場(磯)は、ちょっと珍しい形状に浸食されています。具体的には、岩場が、何層にも重ねあわされた板のように形成されているのです。いわゆる、波状岩という地形ですね。宮崎県の青島に、「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状岩の海岸がありますが、ちょうどそのような雰囲気です。そういえば、細い道で陸に繋がっている島の形態も似ていますね。神秘の光景と呼ばれる鬼の洗濯板に似た岩場を関東でも見る事ができるなんて、ちょっと得した気分になれますね。
まとめてみると、モンサンミッシェルを彷彿とさせる海の道に広がる砂浜や、鬼の洗濯板のような岩場、南国秘境リゾートのような砂浜、冒険心をくすぐる森に存在する謎の洞窟や神社など、まるで、旅の楽しみを詰め込んだ宝箱のようですね。
また、沖ノ島では、「たてやま・海辺の鑑定団」というNPO法人が、無人島探検や、自然体験、シュノーケリング体験など、さまざまな体験プログラムを開催しています。観光で訪れた沖ノ島をもっと知りたいと思った方は、そういったプログラムに参加してみるのも良いかもしれませんね。
館山市の関連ホームページ
http://www.city.tateyama.chiba.jp/shoukan/page000033.html
NPO法人 たてやま・海辺鑑定団のホームページ
http://umikan.jp/nature/explore/okinoshima