桟橋から船でチェックイン。イルカも暮らす能登の名湯「和倉温泉」

近隣の村々がねたむほど大繁盛した歴史ある名湯

妻恋舟の湯 image by: 石川県観光連盟

和倉の湯は、湯治湯としても古くから人気があったと言います。上述の『和倉温泉の歴史』には、和倉村についての民謡が引用されていますが、

「わくらわくらと家なら七つ 島に湯が出にゃ誰いこや なんて小邪魔なたたきつぶせ」

と謡われています。近隣の村々がねたんで作った民謡だと言われていますが、近在の人々からひがまれるほど、7つしか家がない小さな寒村に湯治客が押し寄せていたと分かります。和倉温泉の泉質は、

<無色無臭の岩塩化土類食塩泉、泉温摂氏九十四度>(『石川県の地名』より引用)

とあります。引用元の「含土類−食塩泉」は旧泉質名ですから、新泉質名で言うと、

<ナトリウム・カルシウム−塩化物泉>(和倉温泉観光協会・和倉温泉旅館協同組合のホームページより引用)

になります。環境省『あんしんあんぜんな・温泉利用のいろは』によると、塩化物泉は療養泉の1つで医学的な効能が認められていて、飲泉も効果的で、胃炎や便秘、皮膚乾燥症や切り傷、末梢循環障害や冷え性、うつ状態に効果があると知られています。

実際に和倉温泉に入ってお湯をなめると、海水のような塩味がします。その塩分が湯上りに皮膚に付着しコーティング効果を発揮するのか、いつまでも体がぽかぽか。筆者は軽いアトピー性皮膚炎を患っていますが、皮膚にも好ましい影響があると感じます(あくまでも主観です)。古くから湯治客に愛され、現代の医学でも効用が認められている療養泉も、和倉温泉が評価される理由の1つと言えそうですね。

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