長い人生、ときにはすべてを投げ出して逃げ出してしまいたくなることもあります。
仕事に家事、子育てと忙しい日々を送っている方、ストレスフルな毎日を過ごしている方。一旦すべてを止めて、京都へプチ出家の旅へと出かけませんか。
古都・京都には静かな空間で自分自身と向き合いながら、日常生活で必要なエネルギーのチャージができる1泊2日のプチ出家体験を行っているお寺が多くあります。
仏様の存在を少しでも身近に感じたい、悩みごとを一時忘れてしまいたい、心を乱されることなく日々を過ごしたい。
今回は、そんな気持ちに寄り添うような、気軽にできてリフレッシュ効果も高い出家体験ができるお寺をご紹介します。
プチ出家体験とは
近年、日常とは完全に切り離されたお寺のなかで座禅を組んだりお経を読んだり、心を無にしてお経を書き写す「写経」体験ができるお寺が人気を呼んでいます。
そのなかで、お寺に宿泊する「宿坊」は、昔は僧侶や心と体を清めたい参拝者が宿泊する施設でしたが、時の流れとともにより京都らしいアクティビティに変化しました。
静かな境内で一日を過ごせるところもありますし、2〜3時間のみの気軽な体験も充実しており、日本人はもちろん、海外の観光客も多数訪れています。
そして、宿坊をしながらの座禅や読経などを行うプチ出家体験は、思考をクリアにしてリフレッシュできると大評判。
みなさんもお寺や神社などに足を踏み入れるとなぜだかほっと心が落ち着く、そんな経験をされたことがあるのではないでしょうか。その凛とした空気を存分に味わうことができるのがプチ出家体験です。
おすすめの「プチ出家体験」ができる寺院
プチ出家体験は多くの寺院で行われています。プチといっても、本格的な修行を体験できるものから和やかな雰囲気のなかで進んでいくものまでさまざま。
せっかくリフレッシュするのだから、自分にあった体験を選ぶようにしましょう。
余計なことを考えずに無心になってみたい方は厳し目のものを、美しい景色を見ながら心を癒やされたい方は、楽しめる宿坊を選ぶと良いでしょう。
精進料理を食べてみたい方は「妙心寺東林院」を
座禅や写経はハードルが高いけれど、静かな空間をまずは体験してみたい方におすすめなのが、右京区にある「妙心寺東林院」です。
本格的な修行も行われていますが、1泊2食付きの宿泊施設としての利用も可能な宿坊です。
同院のおすすめは、住職さんが手作りする精進料理。こちらの住職さんは、精進料理の本を何冊も出している精進料理のプロなのです。
一汁五菜の夕食は野菜だけの食事にも関わらず、どれも優しくお出汁のきいた味付けで、満足すること間違い無し。
色とりどりの小鉢が美しく、そういえば食事は目でも楽しむものだったと、改めて思い出させてくれることでしょう。
また、妙心寺は沙羅双樹の大木があることでも有名です。普段は非公開なのですが、東林院に宿泊すると沙羅双樹のあるお庭を見ることもできます。
聞きなれない木の名ですが、沙羅双樹は平家物語にも登場する花を咲かせる木です。真っ白で小ぶりの花が花弁が開いたままの美しい状態で木から落ちることから、潔さや世の儚さを表す、どこか切なさを感じる木として昔から愛されています。
東林院の沙羅双樹は樹齢300年にもなるのだとか。300年という途方もない年月を生き抜いてきた木からも、パワーを分けていただきましょう。
- 妙心寺東林
- 京都府京都市右京区花園妙心寺町59
- 075-463-1334
- 花園
- 宿坊:朝食付き4,700円/一泊二食6,000円
女性だけの宿坊「鹿王院」
嵐山にある「鹿王院」は、桜や紅葉の時期には美しい嵐山の風景を背にして佇む静かで落ち着いたお寺であり、女性限定の宿坊です。
美しい庭園とまっすぐに伸びる参道が見どころの鹿王院は、600年以上の歴史を持つにも関わらず整備が行き届いており、どこか女性的な優しい雰囲気で満ちています。
観光のための寺院ではなく、いま現在も修行が行われている場所なので、観光地として人気の嵐山にあっても観光客は比較的少なく、宿坊に入ると外の世界とは切り離された空間が広がっています。
鳥の鳴き声と風のそよぐ音以外はなにも聞こえてこない場所で、特別な時間が過ごせますよ。特に朝日に照らされるお庭を眺める時間は、心が洗われるよう。早起きして散策を楽しみましょう。
また、朝は6時50分から本堂で行われる座禅に参加して、煩悩や悩みを追い払ってしまいましょう。短い時間の座禅体験ですが、住職さんの法話を聞き終わって外にでると、一日の始まりがとても清々しく感じられます。
- 鹿王院
- 京都市右京区嵯峨北堀町24
- 075-861-1645
- 嵯峨嵐山/鹿王院
- 9:00~17:00
- 公式サイト
「宝泉寺禅センター」でより濃い修行を体験
前述の妙心寺東林院や鹿王院は、宿坊初体験の方やお寺で心落ち着く時間がほしい方におすすめの宿坊です。
しかし、より本格的な修行経験を味わってみたい!という方なら、「宝泉寺禅センター」を訪れることをおすすめします。
同施設は、土日一泊座禅会を除いては3泊4日以上と少し長めの修行期間も可能。ぜひ、時間が取れるときに訪れましょう。
京都府亀岡市、豊かな自然のなかにある宝泉寺での修行は、いま持っている価値観が変わるほど。なかには「自分がどれだけ恵まれているのかを改めて思い知った」と話す人も。
しっかりとしたサポートのある修行体験と、そのなかでゆっくりと自分に向き合う時間。そして修行を共にする仲間とのコミュニケーションと、メリハリのある時間を過ごすことができます。
特に食事についての作法がきちんと定められており、朝夕の食事は修行の一環です。私語は禁止ですし、残すことももちろん許されません。
普段コンビニ食やインスタント食が多い方は、この3泊4日で体のなかからキレイに整えられていくような感覚を覚えるかもしれませんね。
朝早く起床して隅々までお掃除をし、座禅を組み、法話に耳を傾けて、自然のものをいただく。
たったこれだけですが、意識して自分を律して行うことで、一日が終わるころにはクタクタ。自然と早い時間に就寝できて、心と体がすっとリセットされます。
- 宝泉寺禅センター
- 京都府亀岡市篠町山本中条52
- 馬堀
- 公式サイト
- 要事前予約
プチ出家の旅で心と身体を整えよう
行き詰まったとき、悩みが頭から離れないとき、日常から逃げ出したくなってしまったときにやりたい、プチ出家の旅。
心が乱されることは、生きていれば誰でも経験するもの。原因に向き合いながらゆっくりと解決していくことで、穏やかな日々を過ごせるようになる可能性があります。
宿坊に泊まって静かな空間で自分と向き合えば、「当たり前」になっていたことに感謝する心を取り戻せたり、謙虚な気持ちを思い出すことができます。
日々の生活にちょっと疲れてしまった、そう感じた際は、ぜひ宿坊でリフレッシュする旅に出かけてみましょう。生まれ変わった気持ちで、また日々を頑張るエネルギーを頂けますよ。
- image by:宝泉寺禅センター
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