日本人が移住したい国ナンバーワンに選ばれ続ける赤道の国、マレーシア。私は日系総合商社のクアラルンプール支店で働き、毎日いろんな意味で悲鳴を上げながら暮らしてきました。
今回はアジア移住を夢見るみなさんに、マレーシア生活のリアルな日々をお伝えします。例外や個人差もあることは先にお断りした上で、ありありと実況中継させて頂きましょう。さあ、まずは心の準備を…。
目次
- 1賃貸契約書に「アッラーの神の思し召し」
- 21日5回流れる、大音量のコーラン
- 3物価は日本の半分以下。でも、お酒は3倍!
- 4往復5,000円でシンガポールやタイに行ける
- 5女子力をイスラム女子から学ぶ
- 6マレーシア移住の醍醐味は「税制」
- 7貧富の差、未だに存在する貴族社会
- 8日本をそのまま引きずれる国
- 9晴れているのに空は灰色
- 10「私達は親切だからウソを答える」
- 11家賃月6万5,000円でプチセレブ
賃貸契約書に「アッラーの神の思し召し」
移住者としては、まず気になるのは住居でしょう。多くの場合は、部屋を借りる際に不動産賃貸契約を結びますが、アッラーの神を崇めるマレーシアの賃貸契約書は日本人にとってくせ者です。
この写真は実際にマレーシアで私がもらった契約書ですが、「Act of God」つまり「神の思し召し」の文字が散見されます。そして、どの契約書も必ずといってよいほど次の一文が入るのです。
「物件内部の破損、ダメージ、劣化が見つかっても、それは当事者の予想を超える神様の思し召しとして苦情を入れないこと」。
えー?破損や劣化もアッラーの神の思し召しなの!?要するに「いろいろ諦めてね」という契約書です。
この一文のせいで、物件内にトラブルが生じてもただ我慢させられたり、修繕費が借主負担になってしまうことも。イスラム国家に住むにはある程度の「悟り」が必要なのかもしれません。
1日5回流れる、大音量のコーラン
イスラム国家のマレーシア。どこを歩いていても、朝は5時ごろから夜は8時ごろまで、街中に点在するモスクから大音量のコーランが流れます。
男性の声で突然「アッラー、アクバルッ!!」などというフレーズが流れ、これを聞くたびに「ああ、外国に住んでいるなあ」と実感するものです。
ただ、この大音量コーランは朝5時台から流れるため、モスクの近くに住んでいる人のなかには慣れないあまりに不眠症を発症するケースも。
逆に、遠くからほんのり聞こえるコーランは眠りを妨げず、むしろ異国情緒が増すため日本人の間で人気が高いとの話もあります。
物価は日本の半分以下。でも、お酒は3倍!
首都クアラルンプールの場合、大体の物価は日本の2.5分の1です。ドリンク付きランチセットを、キレイめのフードコートでお腹いっぱい食べても約400円くらい。テイクアウトなら300円以下ですみます。
ところが、お酒の値段がとても高いのです!それは、イスラム教は禁酒が基本だから。
日本で500円レベルのワインが約1,500円、350mlの缶ビール1本で約250円。外でお酒を飲むと一層高くついてしまいます。お酒が好きな人は、やりくりを考える必要があるかもしれません。