カンボジアといえば、世界遺産「アンコールワット」が有名な観光地としてあげられますよね。「世界3大仏教遺跡」のひとつでもある貴重な遺跡ですので、誰もが一度は訪れてみたいところではないでしょうか。
けれども歴史の長いカンボジアには、ほかにもすばらしい遺跡があるんです。今回は、アンコール・ワットから約40km離れた、森の中にある寺院遺跡「ベンメリア」をご紹介します。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
蓮池の意味をもつ「ベンメリア遺跡」
ベンメリアは、1992年ユネスコ世界遺産に登録されている「アンコール遺跡群」のひとつ。アンコールとは「王都」という意味で、かつてクメール王朝の首都があった場所です。
アンコール・ワットよりも古い遺跡で、12世紀初頭までに、スリヤヴァルマン2世によって、ヒンドゥー教寺院として創設されたといわれています。
いつの間にか忘れられ、密森の中にひっそりと眠っていたところを、最近になって眠りから起こされたような寺院遺跡です。
遺跡の存在が明らかになったあとも、長く間続いた内乱で放置され、さらにポル・ポト政権崩壊から40年以上経った最近まで地雷除去が進まず、人が入れる状態ではなかったとか。
アンコール・ワットと同規模サイズ
ベンメリア寺院は、この先調査が進み全貌が明らかになれば、アンコール・ワットと同じくらいの大きさがあるのではといわれている、平面展開型の巨大寺院です。環濠は周囲が約4km超えというのですから、その規模を想像するのも難しいくらい。
しかし崩壊が激しく、修復が施されないままに放置されており、アンコール・ワットのモデルになったともいわれていますが、もはや原形を想像することすら難しいですね。
苔むし、ほぼ瓦礫の山と化した廃墟感が漂ってます。ベンメリアでは、さまざまな遺跡で使用可能な「アンコールチケット」は使えないようですのでご注意を。
廃墟感漂うベンメリア遺跡
正門から入っていくのですが、正門すらすでに「門といえるの…?」という状態。見事な廃墟っぷりを見ていきます。観光用の通路が造られていますので、迷うことはないでしょう。
偶然なのか、筆者が伺ったときには観光客がほとんどいなかったので、生きているのはガジュマルだけじゃないかしらというくらい、寂しい静かな空気が流れていました。
建物は廃墟感漂いますが、ベンメリアのナーガは保存状態がよいものが多く、とくに東門テラス欄干の5つ頭の「ナーガ」はその美しさでは際立っています。
ベンメリアはヒンドゥー教の寺院だったそうですが、ヒンドゥー教の特徴はほとんど残っていません。ヒンドゥー教時代のものは、後の仏教時代に破壊されてしまったようです。
そして仏教寺院への改築も多く行われていたため、仏教モチーフの彫刻が多く見られます。材質は主に砂岩だそう。経蔵は比較的良い状態で残っていました。
ベンメリアで色彩を感じるのは、お坊さんのオレンジの袈裟と、抹茶チョコ色の苔くらい。
四方八方に張りめぐらされた枝を持つガジュマルを見ていると、「空から宇宙人の脚が伸びてきて絡めとられちゃうのでは…!」なんていう、想像というか妄想が膨らむほど。
ありとあらゆるものに巻き付いてしまっています。反対に、もはやガジュマルないとすべてのものが崩れ落ちそうです。
ちなみに映画『トゥームレイダー』のロケ地になったとガイドさんがいっていましたが、それは「タ・プロム寺院」のことだと他の人から教えてもらいました。
また、宮崎駿監督のジブリ映画『天空の城ラピュタ』のモデルになったともいわれていますが、それはどうも違うといわれています。この遺跡に人が入れるようになったのは、映画公開よりもあとなので矛盾していますものね。
まだ周囲には「地雷注意」の看板が残るベンメリア。近年まで人が歩くことさえできなかった状況にあり、内戦の爪痕がいかに大きかったのかを感じます。
整備されていく「アンコール・ワット」や「アンコール・トム」とは違って、手の入っていない遺跡で悠久の歴史を感じるはずですよ。
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