韓国旅行によく行く人なら「オンドル部屋」を耳にしたことがあるのではないでしょうか。オンドル部屋は韓国では一般的であり、ホテルの客室にあることも。
筆者は先日、渡韓歴十何回目にして初めて、本格的なオンドル部屋に宿泊。実際に泊まってみて「あぁ、なるほど…」と思う貴重な体験をしました。
泊まる前に知っておいて損はない、韓国旅行で利用できるオンドル部屋。その基礎知識からおすすめの滞在方法などを今回ご紹介します。
韓国ならではの気候から生まれた「床下暖房」
まず、「オンドル」とは、朝鮮式の「床暖房」のことです。
韓国を含む朝鮮半島は、日本以上に冬の寒さが厳しいため、オンドルという床暖房が広く普及しています。
古くは高句麗・新羅・百済の三国時代の遺跡からも多く発掘され、朝鮮時代の古宮にも導入されていました。
オンドルは、床下を暖める仕組み。昔はかまどで、薪や練炭などを燃やした熱をまず台所で利用し、その熱を床下から部屋まで暖めていました。煙を家の外に出すための煙突もあったようです。
現在は、電気やガスで温めた温水を使う、温水循環式のオンドルが一般的。床下にプラスチックや銅でできたパイプが張りめぐらされているため、室内がくまなく暖まります。
韓国の布団や座布団が日本よりも薄い理由
オンドル部屋では、日本の和室同様、床の上に布団を直接敷いて寝ます。客室のみならず、食堂の座敷席、リビングなどでオンドルが導入されていることも。
韓国の布団や座布団は、日本より「薄い」のも特徴。その理由は、オンドルで温まった熱を直に感じるためです。
寒い季節に活躍するオンドルを体験するなら、冬になります。韓国では屋内は暖かいですが、外はソウルでもマイナス10度以下になることもあるほど、厳しい寒さです。
オンドルの客室であれば、部屋にずっと不在でもオンドルで温まっているので、エアコンの暖房を使う手間も省けます。
念願のオンドル体験、しかし季節柄で盲点が…
筆者が泊まったのは、韓国中部の都市にある「韓屋村(ハノック)」でした。韓屋村とは、朝鮮時代の建築である瓦葺きの伝統家屋が密集する場所のこと。韓国各地にあり、宿泊できるところも。
家屋の1棟貸しは、家族連れに人気。そして、長屋が並ぶエリアは1部屋ごとで利用できます。それぞれの客室は広く、グループでの滞在がおすすめ。
広い客室内はオンドルで、入った瞬間から床が温かいのが直に伝わってきます。各客室はシャワーやトイレ、洗面所付きで、冷蔵庫なども。設備的には問題なし。
しかし、訪れた季節は4月で、寒さが急に和らぎ、春ならではのポカポカ陽気。
床に薄い布団を敷いてみるものの温かいというより熱く、ひとまずあるだけの布団(4名分)を積み上げて寝てみたものの、それでも熱がしっかり伝わってきました。オンドル恐るべし。
他の部屋を様子見すると、案の定、扉や窓を全開にしている人多数。夜中開けっ放しも不謹慎なため、深夜に鍵を閉めて我慢してみたものの、朝には身体が芯まで温かくなりすぎてしまいました。
ちなみに、滞在先に聞くと「オンドルの客室ごとの調整は不可」とのこと。思わぬところで、オンドルの欠点まで体験してしまいました。
ただ、あれだけ温かいので、寒さが厳しい時期には、大変ありがたい存在には間違いありません。
先に「チムジルバン」から体験してみるのも手
オンドル部屋にいきなり泊まるのはちょっと、という人であれば、「チムジルバン」をまず体験してみるのも手。
チムジルバンは、日本の健康ランドのような温浴施設。子どもからお年寄りまで一日滞在して楽しめる韓国の憩い場です。
チムジルバンはソウルにも多くあり、基本24時間営業。大型施設だと食事や宿泊、マッサージ、ジム、映画館まであることも。若者のデートスポットとしても使われています。服を着るため男女一緒に利用でき、複数のサウナがあることも。
風呂やサウナの利用後、オンドルが効いた場所で休憩や食事を自由気ままに楽しみます。小腹が空いた際のゆで卵も、チムジルバン名物。
なお、オンドル部屋への宿泊は、筆者が泊まった韓屋スタイルの宿泊施設のほか、ゲストハウス、さらに一般的なホテル、コンドミニアムなどにあることも。
冬に韓国を訪れる際、宿泊施設の予約時に「オンドルルーム」をピンポイントで予約しましょう。
- image by:Johnathan21/Shutterstock.com
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。