2023年6月7日、アメリカのハンバーガー・チェーン「In-N-Out Burger(イン・アンド・アウト・バーガー)」が東京の恵比寿で行った、1日だけの限定オープンに大勢の人が駆け付け、店の周辺に長蛇の列ができたそうです。
イン・アンド・アウト・バーガーの名前をロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手と絡めて記憶している人もいるかもしれません。
昨年のMLBオールスター・ゲーム前、報道陣から「好きなアメリカの食べ物は?」と質問された大谷選手が「イン・アンド・アウト・バーガー」と即答したことがきっかけです。
その後も球場の電光掲示板で「大谷選手の好きな食べ物=イン・アンド・アウト・バーガー」と大写しになったことや、試合後にロッカールームで大谷選手が人気メニュー「ダブル・ダブル」を食べたなんてことまでがニュースになりました。
ストイックなイメージの強い大谷選手が、実はファストフードが好物だという意外な素顔が受けたようです。ただでさえ絶大な人気の大谷選手ですが、さらに好感度が増した感があります。
75年の伝統を守るハンバーガー
さて、この「In-N-Out Burger」、たいていのアメリカ人は早口で発音するので、カタカナにすると「インナナートバーガー」のように聞こえるかもしれません。
ロサンゼルス郊外のボールドウィン・パークに、イン・アンド・アウト・バーガーの第1号店がオープンしたのは1948年のこと。
マクドナルド(1940年創業)より若く、ケンタッキー・フライド・チキン(1952年創業)より古い歴史を持つファストフード店です。
創業者はハリー・スナイダーさんと、妻のエスター・スナイダーさんの夫婦ですが、実はこの2人はカナダ出身だったそうです。
創業当時は「毎朝、陽が昇る前からハリー(夫)は肉と野菜の市場を回って新鮮な食材を買い求め、それらを自分の手で調理した。妻のエスターは店にすぐ近くにあった自宅ですべての会計処理を一手に引き受けた」と同社の公式Webサイトにあります。
カリフォルニア州とアメリカ西海岸の州を中心に300店舗以上に広がった現在でも、イン・アンド・アウト・バーガーは家族経営を貫き、その独自のスタイルを守っています。現オーナー兼社長のリンシ・スナイダーさんは、創業者夫婦の孫にあたります。
2023年10月22日にはイン・アンド・アウト・バーガーの創立75周年を記念して、ドラッグレースやZZトップのコンサートなどを含んだ一大イベントが、創業の地からすぐ近くにあるカリフォルニア州「ポモナ」のカーレース場で予定されています。
イン・アンド・アウト・バーガーの店舗は外観も店内も明るい色で統一されています。
店員はきびきびとフレンドリーな接客を教育されているようで、他のファストフード・チェーンとは一線を画しています。そうした雰囲気に「古き良きアメリカ」をイメージするファンは多いでしょう。
シンプルな定番メニューと「それほど秘密でもない」裏メニュー
イン・アンド・アウト・バーガーは冷凍食品を使用せず、オーダーを受けてから昔ながらの手法で調理することが大きな特徴です。
そのため、ほかのファストフード店に比べると待ち時間はかかりますし、メニューの種類もごく限られたシンプルなものです。
ハンバーガーの種類は「レギュラー」「チーズバーガー」「ダブルチーズバーガー」の3種類だけ。ほかにあるのはソフトドリンク、フライ、そしてシェイクぐらいです。
メニューからハンバーガーを選ぶと必ず尋ねられるのは「タマネギは入れますか?」。
ほかにピクルスやトマトなど、足したい、あるいは抜きたいトッピングがあれば、それも注文時に伝えます。
そのときの混み具合にもよりますが、注文してから大体約5~10分くらいは待つことになります。店内でカウンター前に並ぶ人より、ドライブスルーの車の列の方が長いことが多いようです。
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