英語の時制は「時間」ではない?日本人がつまずく英語文法をプロが解説

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仕事で役立つスキルといえば、「英語」は外せません。自身のスキルアップのため、英語学習に取り組んでいるという方も多いでしょう。そんな学習者の多くが頭を悩ませるのが、英語の「時制」ではないでしょうか?「過去・現在・未来」を表すだけなのに、なぜこんなに難しいのか…。

メルマガ『ロジグリッシュ「グローバルサムライコミュニケーション」講座』の著者で、カリフォルニア大学バークレー校にてMBAを取得した言語のプロ・ロジグリッシュさんが、日本人が見落としがちな英語における「時制の本質」を解説してくれています。ぜひ英語学習の参考にしてみてくださいね。

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現在形なのに「今」じゃない

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英語の時制(tense)を学ぶとき、私たちは最初こう習います。

  • 現在形=今
  • 過去形=過去
  • 未来形=未来

そして例文を暗記し、穴埋め問題を解き、「現在形だから三単現のs」「過去形だからed」と、正解の形を当てにいきます。

もちろん、それは入口としては合理的です。学習の整理としては、とても美しい。でも現場の英語に触れると、すぐに違和感が出てきます。たとえば、会議でよくある一言。

  • I think we need to revisit this.

これを学校文法で見ると「現在形」です。だから「今思っている」という意味に見えます。

でも実際の感覚は、こうです。これは“今の気分”ではなく、私の立場としての判断です。つまり現在形は、「今」という時間を指しているのではなく、私が責任を持って置く判断の位置を示しています。英語の現在形は、しばしば“恒常性”や“方針”や“立場”を表します。


  • I work in Kyoto.
    • 今この瞬間働いている、ではない。職業・所属の話
  • We meet every Monday.
    • 今会っている、ではない。ルールの話
  • This report shows a clear trend.
    • 今だけの現象ではなく、確定した観察の話

英語の現在形は、「今」よりもむしろ “確定している” に近いのです。

過去形は「過去」以上のものを運ぶ

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では過去形はどうでしょうか。英語の過去形が、単に「過去の出来事」を述べるだけなら簡単です。

  • I visited Kyoto last year.「去年京都に行った」

しかし、英語の過去形はときどき“時間”とは別のものを運びます。たとえば、こういう言い方。

  • I was wondering if you could help me.

これは「昔、私は不思議に思っていました」ではありません。意味はこうです。いきなり押しつけず、一段引いて丁寧にお願いする。つまり過去形は、時間ではなく“距離(distance)”を作るために使われています。距離にはいくつか種類があります。

  • 心理的距離(押しつけない)
  • 社会的距離(丁寧にする)
  • 現実からの距離(仮定・想像)

だから英語では、「If I had time, I would join.」という「過去形」が、過去ではなく“現実ではない”ことを表します。ここでも英語は、時間より出来事の扱い方を優先しているのです。英語は「出来事を確定させた瞬間」を管理しているということ。

ここで一つ、視点を切り替えます。日本語では、出来事を語るときに「話者の感覚」や「場の空気」で補える部分が大きいです。でも英語は違います。英語は、出来事を語るときに、それは確定したのか、まだ途中なのか、いつ確定したこととして扱うのかを、文法の側で管理しようとします。

だから時制とは、時間(clock)ではなく、確定(commitment)の話になります。

「現在完了」が難しい本当の理由

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この話をすると、必ず出てくるのが現在完了です。学校ではこう習います。

  • have + 過去分詞
  • 「~したことがある」「~してしまった」「~して以来ずっと」

そして多くの人が混乱します。でも現在完了の核は、これです。過去の出来事を、今の責任の範囲に接続する。たとえば、

  • I have sent the email.

これは単に「送った」ではありません。送った、という出来事を今の状況として確定させている。だから会議や仕事で、現在完了は強い。

  • I’ve finished the task.
    • 終わったことにしていい状態
  • We’ve decided to move forward.
    • 決定として確定した
  • I’ve checked the numbers.
    • 確認済み、という責任を持つ

英語はここでも、出来事を「いつ起きたか」より「今どう扱うか」を優先します。「時制」は、あなたの責任の置き方そのもの。英語の時制を学ぶというのは、動詞の形を暗記することではありません。本質はこうです。

  • どの出来事を確定させるのか
  • どの出来事を未確定のまま残すのか
  • 誰がその出来事を引き受けるのか

時制は、出来事と責任を配置する装置なのです。だから英語圏の会議では、時制のズレは単なる文法ミスではなく、「それ、もう確定した話?」「それ、まだ仮の話?」「あなたは責任を持って言ってる?」という意味のズレになります。

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