今回は、琉球八社(琉球王国から特別な扱いを受けていた8つの神社)のひとつに数えられる「普天満宮(ふてんまぐう)」をご紹介します。普天満宮は宜野湾市にある唯一の神社なのですが、宜野湾市民の僕にとっては、心のよりどころでもあります。
お正月にはたくさんの参拝客でごったがえす普天満宮ですが、僕は普段使い(?)のほうが多い気がしますね。
ジョギングの途中でふらりと寄って手を合わせたり、心にモヤモヤがある場合に心を落ち着けるために参拝したり…等々。
ちなみに、普天満宮には普天満山神宮寺という真言宗のお寺が隣接しているのですが、僕は神宮寺にもかならず立ち寄っています。
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代々の琉球国王も参拝に訪れた場所
さて、まずは普天満宮の歴史について少々。まず創建については、普天満の洞窟(後述する現在の普天満宮洞穴)に琉球古神道神を祀ったことが始まりで、1450〜60年、尚金福王(しょうきんぷくおう)から尚泰久王(しょうたいきゅうおう)の頃に、熊野権現を合祀したと伝えられています。
普天満宮のことが記載されている記録としては『普天満権現』碑(1590年)、『琉球神道記』(1605年)、『琉球国由来記』(1713年)、『琉球国旧記』(1731年)があります。明確な創建時期は不明ですが、少なくとも600年以上の歴史はありそうですね。
琉球国由来記によると、1644年に琉球王国第二尚氏王統の第9代国王・尚賢王(しょうけんおう)が、旧暦九月吉日に普天満宮と普天満山神宮寺に参詣し、無病息災を祈願して以降、代々の琉球国王は首里城から普天満宮までを参詣するようになったと言います。
この国王の参詣「普天満御参詣(フティマ・ウサンチー)」のために、首里から普天満宮までの街道は整備され、17世紀後半には沿道に琉球松が植えられました(戦前まで美しい松並木が見られたようです)。
このことからも、普天満宮が琉球にとっていかに重要な神社だったかお分かりいただけたかと思います。
巫女さんと行く、普天満宮洞穴探検
4月某日も、普天満宮を参拝してきました。鳥居の前で一礼し視線を上げると、すぐに赤瓦に唐玻風(からはふう)造りの立派な社殿が目に飛び込んできます。
社殿前は、狛犬ではなく2体のシーサーがお出迎え。社殿は平成17年に改築されたばかりなので、まだまだ建物自体は真新しく感じます。
この日は平日だったせいか参拝客はまばら。沖縄の神社やお寺ではよく見かける光景なのですが、ユタのおばあさんと一緒に拝んでいる御夫婦もいました。社殿を参拝した後は本殿横の「普天満宮洞穴」へ。普天満宮洞穴は普天満宮の奥宮で、僕がここに入るのは今回で2度目です。
この普天満宮洞穴は、全長約280メートルの鍾乳洞で、現在はその一部の約50メートルが一般公開されています。
普天満宮発祥の場所ともいわれている洞穴は、1991年に宜野湾市の名勝にも指定されたほど必見の場所。ですが沖縄フリークの方でも、まだまだ行ったことがない方が多いであろう穴場といえます。
社務所で受付・予約をした後、巫女さんが洞穴まで案内してくれますよ。ちなみに拝観料は無料です。
まず、巫女さんに案内されて普天満宮洞穴へ向かいました。巫女さんがドアの鍵を開け、トンネルのような廊下を抜けると、すぐに洞穴の入口です。
入ると、そこは鍾乳洞の大きなホールのようになっています。静寂な空間なのですが、とても力強いエネルギーを感じます。
鍾乳洞のホールには、いくつかの大きな鍾乳石や拝所がありました。長い年月でつくられた鍾乳石はおどろおどろしい感じもしますが、とても神秘的。
鍾乳洞のホールで拝んだ後は、北に30mくらい続く横穴を進みました。横穴は狭くて薄暗いので、洞窟探検的な気分になるかもしれません。
ただし、神聖な場所なのではしゃぎすぎないように。突き当たりには、外に抜けられる出口があるのですが、ふだんは柵がされていて通り抜けはできません。
ホールにもどって、ふと見上げると本殿の赤瓦と亜熱帯植物の深緑のコントラストが。洞穴の入口と先ほど巫女さんといっしょに撮り抜けた廊下は、完全にはつながっていないのです。
この風景はとても美しいですよ。ちなみに、巫女さんから拝観の制限時間30分と伝えられたのですが、あまりにも心地よい空間だったので30分ギリギリまで中にいてしまいました。僕にとっては、エネルギーを満たすことができる大事なパワースポットです。
僕が普段使いでも訪れてしまう普天満宮、ぜひ一度訪ねてみてください。沖縄を何度もおとずれ、主要な観光地は制覇したという方には特におすすめします。
アクセスは、沖縄自動車道「北中城IC」から県道29号を通って約5分。案内標識がでているので迷うことはないと思います。社殿横と裏側には、無料の駐車場もあるのでぜひご利用ください。
住所:沖縄県宜野湾市普天間1-27-10
拝観時間:7:00~19:00(通年)※洞穴は10:00~17:00
公式サイト: http://futenmagu.or.jp/
- image by:伊波 一志
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