16年前頃から「ダムマニア」と呼ばれるダム好きの人たちが続々と現われ、ネット上にダムの写真を掲載したり、ダム日記をつけるなど盛り上がりました。
「ダムカード」や「ダムマンガ」など、人気と共に様々なモノが登場し始めました。そして、中でも特に人気があるのが「ダムカレー」です。
今回は埼玉県秩父市の浦山ダムとダムカレーについて紹介します。
生活と健康を支えるダムとダムカレー
“ダムカレー”という言葉を聞いた事があるでしょうか?
10年位前に、ダムマニアと呼ばれる方々が、ご飯をダムの堤体に模して盛り付けたのがきっかけで広まったと言われているダムのような見た目をしたカレーのことです。
現在、全国には、国土交通省が管理しているダムだけで128のダムがあります。
そんな中、ダムやダム近郊で提供されている、独立行政法人 水資源機構が認定しているダムカレーは、群馬県利根川水系の矢木沢ダム・奈良保ダム、埼玉県荒川水系の浦山ダム、岐阜県木曽川水系の阿木川ダム、同じく岐阜県木曽川水系徳山ダム・横山ダム、京都府淀川水系の日吉ダム、そして高知県吉野川水系の早明浦ダムの6カ所だけなのです。
今回は、そんな貴重なダムカレーのうちの、浦山ダムのダムカレーを食べに行ってきました。
浦山ダムは、平成11年4月に完成した、比較的新しいダムです。堤体の高さは156mと、現存の国内ダムの中では6位の高さですが、372mというその幅と相まって、迫力十分な巨大建造物です。
ビルやタワーなど、その高さだけで言えばダムよりも高いものは、街中に溢れています。しかしながら、その幅や、圧倒的な質量感というものは、他に類を見ない迫力だと思います。
ちなみに、この浦山ダムを造るのに使われたコンクリートの量は、約175万平方メートルであり、これは、一般的なミキサー車が運ぶコンクリートの量でいうと、約39万台にものぼる量なのだそうです。
これを大型車(11t積載車)の長さに換算して1列に並べると、約3120kmにもおよび、北海道から沖縄の与那国島までの長さとほぼ同じになります。
さてさて、話が少し逸れましたが、そんな巨大な浦山ダムで提供されているダムカレーは、堤体の高さ約35mm、長さ約180mm、白米の重量約200gと、お腹に収まるサイズですので、安心してご注文ください。
浦山ダムのダムカレーは、提供施設である“うららぴあ”の“さくさ食堂”が完成した2014年9月頃から提供が開始されたハムカツカレーで、ゆで卵、福神漬け、レタスがトッピングされています。
堤体を模したご飯の上に添えられたハムカツは、アーチ状の意匠が美しい旧秩父橋をイメージしているものだそうです。
そして半切りにされたゆで卵は、ダム湖に浮かべられた水質観測装置や水の淀みを解消するための曝気(ばっき)装置をイメージしています。
さらに、福神漬けは、大水時などにダムに流れ込む前の綺麗な水を下流側にバイパスする、清水(せいすい)バイパスをイメージしているそうです。
もちろん、ルーは、ダム湖の水をイメージしています。レタスは、山間の緑のイメージでしょうか。具材1つ1つの意味を理解すると、ダムカレーと実際のダムとが、より近いものに感じられるのではないでしょうか?
また、“さくら食堂”では、ダムカレーを調理する方を施工者と称しているところも、ダムマニア心をくすぐる工夫の1つですね。
山間で食べるダムカレーは爽快
以上のような特徴を持つダムカレー、肝心のお味ですが、カレー単品として味わった場合には、“普通”です。
ですが、ガラス張りの展望台となっている食堂からの景色や、ダムカレーの意匠、山奥に来たという気持ち、それぞれをトッピングとして味わうと、普通のカレーと違った美味しさを得る事ができると思います。
カレーのルーに含まれるターメリックの有効成分であるクルクミンには、抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗アミロイド作用、抗炎症作用などがある事が知られており、抗癌効果が期待できる事が医学的見地から報告されているそうです。
そして、昔から自然の中に身を置く事は、心身のストレスを開放し、免疫力を高める効果を期待できると知られています。
このような観点からダムカレーを振り返ると、水や空気が綺麗な山間の自然の中で味わうダムカレーには、健康効果を増幅させる作用があるのではないでしょうか。
このため私の中では、ダムカレーは、山間の健康食の1つとして位置付けさせていただきました。
全国にあるダムカレーは50種類以上にものぼると言われています。
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