西伊豆という地域は、鉄道路線の乗り入れが無いこともあってか、熱海や修善寺などの有名どころが存在する東伊豆や伊豆中央部に比べて、観光名所の名前を思い浮かべづらい場所のように思います。
しかし、“絶景”、“不思議体験”といったワクワク感漂うワードの出所としては、西伊豆は、東伊豆に負けていません。むしろ、世界に誇れるような観光スポットが存在するのです。そんな絶景スポットの宝庫として、今回注目したのが、堂ヶ島です。
西伊豆で見つけた「青の洞窟」と「東洋のモンサンミッシェル」
堂ヶ島は、リアス式海岸の変化に富んだ地形に形成された天窓洞を巡るクルージングが有名です。
天窓洞とは、国の天然記念物にも指定されている洞窟内天井に形成された大穴です。天窓洞が存在する洞窟は、岸壁を波が浸食して行く“海食”によって形成されたトンネルで、その天窓から注ぐ光が幻想的だと言われています。
そして、海面に降り注いだ光は、波長の短い青系の光の反射が多く、東京から最も近い青の洞窟と言っても過言ではない絶景スポットです。
しかし、堂ヶ島の絶景スポットは、天窓洞だけではありません。“青の洞窟は見たいけど、わざわざ船に乗るのは面倒だ・・・”そんな方にお勧めなスポットも、もちろんあります。そう、陸から見える青の洞窟が!
その洞窟というのは、天窓洞のクルージングを行う船が停泊する入り江から、国道136号線に沿って北側へ向かうと左手に見える小さな入り江です。この入り江は、位置関係から推測すると、天窓洞の洞窟とつながっている洞窟の出口に出来た入り江で、洞窟を介して海と接しているといった雰囲気です。
規模は小さいですが、昔であれば、海賊の秘密基地といった雰囲気の場所です(実際は、陸から丸見えなので“秘密”にはできませんが・・・)。
さて、その洞窟ですが、陸から見える青の洞窟ですから、洞内が青い光に照らされるという雰囲気を味わう事はできませんが、白い砂浜と口をあけた洞窟、その入口に注ぐ光によって生じる青いグラデーション。これも立派な青の洞窟と言えるのではないでしょうか?
この日はたまたま曇りで、日の光がイマイチだったのですが、それでも気を引く青さでした。晴天の日には、さらに心を魅了する色合いとなるのではないかと思われます。
いかがですか? 西伊豆の堂ヶ島について、興味が湧いてきましたか?
こんなところに東洋のモンサンミッシェルが
もちろん、堂ヶ島の魅力的なスポットは、天窓洞や青の洞窟だけではありませんよ!なんとここ堂ヶ島では、東洋のモンサンミッシェルとも言える、孤島へ渡る海の道を見る事ができるのです。
そしてこの海の道、さらに珍しい現象により現れる道なのです。その現象というのは、”トンボロ現象”とよばれる現象です。トンボロ現象とは、干潮時に干上がった海底により、陸と島とがつながる現象の事で、堂ヶ島では三四郎島との間で、それが起こります。
堂ヶ島のトンボロ現象は、潮位が50cm以下になった際に観ることができると言われております。堂ヶ島の潮位については、堂ヶ島マリンさんが提供しているサイトの潮見表で知る事ができます。
潮見表を見ていただければ解るように、潮位が50cm以下となるのは、月に数日です。また、月によっては、観光に適した時間帯に潮位が50cm以下となることが無い月もあります。
そして、この海の道が現れているのは、干潮時間の前後2時間程度と非常に短い時間帯であるため、トンボロ現象を見るのは、貴重な体験だという事ができるのではないでしょうか?
また、この海の道、渡る事もできます。近くに行くと、意外と大きな石で構成されており、少々歩きづらいのですが、滑りやすいという印象もあまりなく、コレが本当に海に沈んでいた石なのか?と、まじまじと見てしまったりします。
この海の道を渡れば、三四郎島まで歩いて渡ることができます。しかし、気を付けなければならない事ももちろんあります。干潮時間帯を過ぎると、目で見て判る程の速さで、道が再び沈み始めるのです。
写真を見比べてもらうとわかるように、たった20分程度で、海の道はここまで変化してしまうのです。
海を割って現れる道、こう聞くと、旧約聖書に書かれたモーゼの奇跡が頭をよぎりませんか?そうなんです。この潮見表で海の道が現れる時間帯を知っていれば、祈りによって海を割く、モーゼ体験もできてしまうのです!って、ちょっとマニアックすぎる遊びですね。
しかしながら、西伊豆(堂ヶ島)の魅力は伝わったのではないでしょうか?青の洞窟と海に現れる道、世界でも稀な2つの現象が、運が良ければ一日で見られてしまう堂ヶ島、潮見表を調べて、行ってみてはいかがでしょうか?
- image by:梅原 慎治
- ※掲載時点の情報です。内容は変更になる可能性があります。