文化庁宗教年鑑(平成27年度版)によると、東京都に存在する寺院の数は、2880であるとされています。今回は、そんな数ある寺院の中で、数々の新聞や雑誌、テレビ番組等でも取り上げられる程の注目度を誇るお寺、證願寺(しょうがんじ)を訪ねました。こちらのお寺、とてもユニークなんです!
国内有数のプラネタリウムがある證願寺へ
1600年創建された、東京都葛飾区にある歴史あるお寺「證願寺」。歴史あるこのお寺は、一般的なお寺のイメージとはちょっと違います。注目される理由は、ずばり外観のインパクトと、国内有数のプラネタリウムがあるということ。
外観のインパクトについては、まず、お寺の入口を探して壁沿いを歩いていると、敷地内の建物に宇宙船のような物が貼り付いているのが目に入ります。これは、スペースシャトルの後継機として、NASAが開発した実験機、X-33の模型ですね。かなりの大きさです。
そして、敷地内に入ると、境内に向かって左側に鎮座するライオンと、右側の林から現れたような恐竜(スティラコザウルス)が目に入ります。さらに、裏手の外壁には、恐竜の絵が約35mに渡って描かれているのです。“お寺”のイメージからすると、かなりのインパクトですよね。
しかし、これらの事項は、単にウケや出落ちを狙ったものでは無いのです。
住職である春日了氏にお話しを伺ったところ、それぞれに意味があるということを知ることができました。
まず、ライオンと恐竜ですが、ライオンについては、日本独自のお寺文化ではなく、本質として仏教の起源であるインドにちなみ、釈迦が亡くなられた後にインドで仏教を守護したと言われるアショーカ王が、釈迦の遺骨の上に立てたと言われる石柱(アショーカピラー)の天端に安置されているのがライオンであるため、お寺の守護像として彫ってもらったとのことでした。
そして恐竜は、ライオンの対としての力強さと、ライオン像の“静”のイメージとの対比として、変革をもたらす“動”のイメージを持つものとして譲り受けて設置したとのこと。つまり、仏教の本質・起源と、現状からの進展・変動を意図して設置されているといるとのこと。
そして、裏手の恐竜の絵は、小学校や中学校、高等学校の通学路に沿って設けられた塀が、隣接するお寺と合わせて約100m続いています。通学路に無機質な塀が100mも続くよりは、證願寺が管理する範囲だけでも明るい塀としていた方が良いのではないかと考え、敷地内に設置した恐竜にちなんで恐竜の絵を描いてもらったとのことでした。お寺脇という環境の通学路に少しでも明るい雰囲気を出してあげたいという、住職の優しさの表れという事ですね。
さらに、宇宙船ですが、これは、後述するプラネタリウムの存在や、建物屋上に設置された天文台と絡めた物だと思われます。退役したスペースシャトルではなく、当時、スペースシャトルの後継機と考えられていた実験機(X-33)の模型が設置されているところにも、変革の意識を伺えますね。
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