「猫カフェ」と聞けば、すっかり定着したイメージがあります。では、「保護猫カフェ」はご存知でしょうか? 保護ネコカフェとは、寄付金や補助金などに頼らず、自力で猫の保護活動を継続していくことを目的とし、里親が見つかるまで一時的に猫を預かっている団体のことをいいます。通常の猫カフェとは全く違うようです。今回、そんな活動をおこなっている「ネコリパブリック(NECO REPUBLIC)」池袋店に取材へ行き、詳しくお話を聞きました。
猫との新しい出会い方。保護猫カフェ『ネコリパブリック池袋店』へ
“67,091”。これが、今回の取材の鍵となる数字です。ピンと来た方はいらっしゃるでしょうか?
この数字は、環境省の統計資料による平成27年の「猫の殺処分数」を表す数字です(現時点で公表されている最新の情報)。いきなり衝撃的な事実をお伝えしましたが、これでも、殺処分数自体は10年前(平成17年)に比べると、1/3にまで減って来ているというのだから、驚きです。
今回取材をさせていただいた「ネコリパブリック」さん(取材協力:ネコリパブリック池袋店さん)では、2022年2月22日までに、行政による猫の殺処分をゼロにするという目標をかかげ、「自走型保護猫カフェ」を展開しながら、様々な観点から、保護猫の認知度を高める活動を行っています。
自走型?保護猫カフェ?殺処分ゼロって具体的にはどうするの?
様々なハテナが頭に浮かぶ「自走型保護猫カフェ」ですが、今回の取材を通じ、そのハテナをナルホド!に変えて行くことが、結果として殺処分ゼロへつながることなのかもしれないと感じました。
まず、自走型というのは、運営を続ける体力をつけるということです。
“猫を保護する団体”というと、寄付金や補助金という他力に頼りがちなものも多いのですが、寄付金や補助金というのは変動が大きく、そこが断ち切られてしまった場合には、保護活動自体を続ける事ができなくなってしまうのです。
このため、そうした他力に頼らず、自力で猫の保護活動を継続していくことを目的としているのだと感じました。
保護猫カフェと猫カフェ、字面を追うとその違いは、お店に居る猫が保護された猫か、そうでないかというだけのように感じますが、実際は大きく違っていました。
普通の猫カフェでは、お店で猫が飼われているだけです。これに対して保護猫カフェでは、保護猫達が里親さんに巡り合えるまでの間、一時的に在籍している場所というスタンスだと感じました。このため、保護猫カフェの猫達には、入れ替わりがあるのです。
里親さんに巡り合えた猫がカフェから“卒業”していくためです。つまり、猫カフェにいる猫は、“プロの猫”なのに対し、保護猫カフェにいる猫は、あくまで「パートナー候補の保護猫」なのです。
ネコリパブリックでは、「可哀想」とか「やせている」といった“負”のイメージを抱きがちな“保護猫”の可愛らしさを知ってもらい、“保護猫”のイメージアップや、里親さんとの巡りあわせのチャンスを広げて行く場を“猫の共和国”として展開しています。
共和国という体を成すため、選挙によって選ばれた大統領も存在するというのですから、その体制も徹底しています。もちろん大統領は“猫”で、そうした猫達をサポートするために人間が居るのです。
四半期に1度の割合で発行される広報紙もしっかりとしており、ネコリパブリックの活動や、オリジナルグッズ、共和国の政治体制など(大統領選挙の様子など)が書かれており、読んでいて楽しい内容になっています。
こうした広報紙の売り上げも、保護猫活動の運営費に反映され、入国者(お客さん)が保護猫の手助けをする事に役立てられるという仕組みを作っています。
こうした努力は協賛者を集め、昨年11月には、ネスカフェとコラボした大規模なイベント(ネコ市ネコ座)を原宿で開催していたり、雑誌『anan』で特集が組まれていたりしています。
この取材の前まで、「保護猫カフェ」というカテゴリーの存在を知らなかった私は、大変失礼ながら、その認知度の高さに驚いてしまいました。
今回は、殺処分ゼロを目標として、猫が幸せを感じられるように開国された共和国、ネコリパブリックの池袋店さんに、お邪魔してきました。
ネコリパブリックでは、各店舗が共和国への入口となっています。このため、入店には、“入国手続き”が必要です。注意事項などが書かれた“ネコリパブリック憲法”や、“入国確認書”を読み、パスポート申請書に必要事項を記入し、パスポートとビザを発行してもらうことで、猫達の居住区へと“入国”することが可能となります。ちなみに入国前には、手洗いと、消毒液による殺菌が行われますので、ちゃんと指示に従ってくださいね。
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