大分は、日本全国でもっとも多い温泉数をほこる「おんせん県」。空港を降りれば足湯が出迎え、街を歩いているといたるところに温泉の二文字を見つけることができます。
県内16市町村において温泉が湧出しており、源泉総数はなんと4,381(2015年3月調べ)!
透明無色のものから硫黄の香りが強い乳白色の湯、さらには輝く淡いブルーまで、その泉質も実に多岐にわたります。そんな大分県にあって、ひときわ異色を放つ存在が「別府温泉保養ランド」。別名、「紺屋地獄」とも呼ばれる泥湯温泉です。
そもそも温泉保養ランドというそのネーミングからしてフックが効いていますが、日本では大変希少な泥浴が楽しめること、さらにその泥湯が混浴であることなどトピック満載な温泉なんです。
ひときわ異色を放つ「別府温泉保養ランド」
「別府温泉保養ランド」があるのは、別府八湯の中の明礬温泉の入り口。あたりにもうもうと湯煙が立ちのぼるその景観には、たしかにちょっと地獄感も漂います。
昭和の保養所といった雰囲気の外観は、平成も30年近く経った世においてはある意味新鮮。館内の昭和度は相当なもので(それも限りなく昭和初期のイメージで)、それだけで平成生まれの読者にはフォトジェニックと映るかもしれません。
日帰り入浴料は1,100円(宿泊施設なので宿泊も可能です)。
フロントで料金を払い専用サンダルに履き替え、館内指示に従って温泉まで続く長い外廊下を歩きます。畳敷きの休憩所でチケットを見せると、「決まりなので、必ずシャワーキャップをかぶってください」とシャワーキャップを渡され(このときはなぜにシャワーキャップ?と思うのですが)、男女別の更衣室へ。
入るとまず更衣室の目の前にどーんと広がる白濁の内湯が現れます。窓から差し込む光が湯をうっすらと照らし、なかなか鄙びた雰囲気に期待が高まります。
言われたとおりシャワーキャップをかぶり、さっそく内湯をいただいてみることに。さらさらとした白濁の湯は肌馴染みがよく、つかるほどにじんわりと身体の芯から温まります。
この内湯はコロイド硫黄温泉と呼ばれる美肌の湯で、シミやソバカス・ニキビに効き、すべすべの美白効果もあるのだそう。石鹸やシャンプーを使うと温泉効果がなくなるので、使用しないこととの注意書きもありました。
乳白色の湯が美しいコロイド湯。
泉質としてはこの内湯だけでもけっこう満足度が高く、普通の温泉なら二重丸をもらえそうなところ。しかしながら、ここは保養ランド。
◯◯ランドと名がつくのだから、このくらいで満足するわけにはいきません。ということで、充分に身体が温まったら、もうひとつ奥の泥湯へと移動。
硫黄成分でそこらじゅうが滑るので、歩くときは注意が必要です。内湯から続く木のドアを押すとそこには濃い濁り湯の湯船が並ぶ長方形の空間が現れました。ここは女性専用の泥湯の内湯となり、さらに先が露天の泥湯となっています。