ほほ檸檬しなさい。香川県豊島の「檸檬ホテル」で甘酸っぱい体験を

すっかり定番になりつつも、まだまだ人気を伸ばしそうなのがアートな島々。特に、小豆島や直島をはじめとした瀬戸内海には島の各所にアートオブジェが点在するアートな島が点在します。

おしゃれな女性誌でも特集が組まれ、「アートな島旅」は今や定番旅スタイルのひとつに。そんな瀬戸内にあってひときわ異彩をはなつのが「檸檬ホテル」の存在です。

香川県豊島にある、ひときわ異彩を放つ「檸檬ホテル」

おしゃれなカフェっぽいたたずまいの「檸檬ホテル」の看板

この「檸檬ホテル」は2016年に豊島にオープンした体験型アート作品で、ホテルというタイトルどおり宿泊もできるという施設だそうですが、とにかくつかみどころがありません。というのも、この「檸檬ホテル」について語るとき、開口一番に出てくるのが「ほほ檸檬しなさい」の9文字だから。

「ほほ檸檬しなさい」って言われても…。

ほほ檸檬しなさい。このなぞのメッセージからすでに「檸檬ホテル」の旅は始まります

ほほ檸檬しなさい」って?

なんのことだかさっぱり意味不明と言いたくなりますが、試しにオフィシャルサイトにアクセスしてみてください。すると、やっぱり一番に出てくるのは「ほほ檸檬しなさい」。

しかもその先がありません。「ほほ檸檬しなさい」って、それだけ。しかも、キッパリと見事な命令口調です。そんなこと言われても…と困りませんか?

というか、そもそも「ほほ檸檬」って何ですか? と頭の中ではハテナマークが増えるばかり。ということで、今回は謎の「檸檬ホテル」についてちょっと探ってみることに。

甘酸っぱい記憶こそがアート! 体験型アート作品の面白さ

古民家を改築したという「檸檬ホテル」の外観。ホテルらしからぬエントランスに思わずほっこり

瀬戸内の豊島は、本州と四国のちょうど真ん中あたり、小豆島と直島の中間に位置するうどん県香川県の島です。面積にして14.4 km²と、自転車でも1時間あれば一周できてしまう小さな島です。


そんな豊島に現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」の作品として作られたのが「檸檬ホテル」。

作品鑑賞は右手の島のレモンで染めたというレモンイエローの布がかかるコーナーからはじまります。ここでは「洗濯のCMのように布と戯れなさい」という指令がでるそう!

概要を説明すると、来館者には「ここで2名のカップルになりなさ」「相手がいない場合は、現れるまでここで待つ♡」「ほほ檸檬しなさい」といったオーダーが出され、指令に従い自撮りした「ほほ檸檬」ショットをインスタグラムで拡散するとそれがそのまま作品となるしくみ。

オーダーは全部で7箇所、館内に1番から7番までの番号札がふられているそう。ようは、体験型アート作品なのです。

という説明を聞いても、正直なんだかよくわかりませんという声が聞こえてきそうなので、『#ほほ檸檬しなさい』をインスタグラムで検索するのが一番わかりやすいかもしれません。すると、次々と「ほほ檸檬」ショットが現れます。

これが噂の「ほほ檸檬」! なんともキュートなポーズですね。ちなみに、どうしても誰もお相手が現れないときはひとりで「ほほ檸檬」もOKなんだそう

なるほど! 「ほほ檸檬」とは、つまりお互いの頬で檸檬を挟んだ状態のことということがようやく理解できます。文字通りといえば文字通りですが、これ、アイドル誌の表紙撮影でもないかぎり普通はなかなかやらないポーズです。

他人と檸檬ひとつ分の距離(特大檸檬でもない限りせいぜい7、8cm?)をおいてほっぺたをくっつけるなんてことは普通の生活では恋人同士か、小さな子ども、そして犬猫相手にしかありえないので、ここで友達や知り合いと頰をくっつけるというのはかなり斬新なアイディアのように思います。ましてや、みず知らずの人と試みるなんて!

「頬と頬で檸檬を挟む。この距離感は実に恥ずかしくドキドキします。そう、初恋のような胸のざわつきですよね。

この体験をしたとき胸の中に残る甘酸っぱい記憶こそが作品なんです」と話すのは、「檸檬ホテル」の酒井支配人。なるほど、檸檬にひっかけて甘酸っぱい体験とはよく考えられています。

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