東京都世田谷区にある豪徳寺。都内の方なら耳にしたことはあるかもしれませんが、地方の方はご存知でないかたも多いのでは? 実はこちらの豪徳寺は、台東区「浅草今戸神社」、新宿区落合南長崎「自性院」と並び、「招き猫発祥の地」としても有名です。
さらに、現在放送中のNHK・大河ドラマでもおなじみ、江戸幕府の重臣・井伊家に縁のある大変由緒あるお寺なのです。今回は井伊家ゆかりの豪徳寺に足を伸ばしてみました。
世田谷区にある井伊家ゆかりの『豪徳寺』へ
広島の友人が初めて東京に遊びに来た時「どこに行きたい?」と尋ねると、まっさきに「豪徳寺」と言ったので、アレレ〜と、ちょっと面食らったことがあります。なぜなら、原宿とか表参道や銀座、浅草のような東京の「ザ・観光スポット」が最初に出てくるはずとふんでいたから。大のネコ好きの彼女はネットで調べ、「世田谷の招きネコの寺に絶対にここ行くぞ!」な気分で、はりきって来たそう。
招きネコにゆかりのあるの豪徳寺は閑静な住宅街にあります。標示に従い、それほど交通量が多くはない道を曲がると、松の風格ある参道が伸び、その先に山門が見られます。
豪徳寺は、1480年に世田谷城主・吉良政忠が、伯母の名前をとって名付けた「弘徳院」と言う庵がはじまり。当初は臨済宗でしたが、1584年から曹洞宗に改宗。1633年に世田谷領が彦根藩の管轄となると、彦根藩二代当主の井伊直孝が井伊家の菩提寺として、伽藍などを整備。豪徳寺の名前は、井伊直孝の戒名である「久昌院殿豪徳天英居士」に由来します。
このお寺がなぜ招きネコの寺として知られるようになったのでしょうか。こんなエピソードが伝わっています。
江戸藩邸に暮らしていた井伊直孝がある日、鷹狩りの帰りにこの付近を通りがかった時のこと。その時、見かけたのが一匹のネコ。ネコが自分を招いているように感じた井伊直孝が門内に入ると、急に天候が雷雨に!ネコのおかげで、雷雨を避けることができ、和尚さんのありがたい法話も聞くこともできて喜んた直孝。彼とネコとの偶然の出会いが「招きネコ」伝説のはじまりのようです。
こちらがネコを祀った「招福殿」。豪徳寺では招きネコのことを「招福猫児(まねぎねこ)」と呼んでいます。
招福殿の向かって左側には、奉納されたたくさんの招き猫が!
柔和な表情の仏さまが彫られた石仏の周囲にズラリと並ぶネコさんたち。なんだか見ているだけで癒されますね。
豪徳寺の売店で購入できる招き猫は小判を持ったりすることもなくシンプルな意匠。
すべて「右手」で招いています。前述した友人ももれなく、お土産に購入し、今でも自宅の玄関に飾っています。
そーいえば、彦根のゆるキャラ「ひこにゃん」は、井伊直孝公に縁のある招きネコにあやかって作られたのだとか。
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