日本中の商店街が頭を抱える「シャッター通り化」という問題。閑散としてさびしい商店街は、いっそう客足を遠のかせます。そんななか、大阪「土居」の商店街では昨年春から店主たちが「かぶりもの」で来客をもてなす活性化事業がスタート。誰しもが思わず笑顔になるという、その現場へ行ってみました。
「土居」駅前に広がる昭和レトロな商店街
大阪のベッドタウン、守口市(もりぐちし)。
京阪本線「土居」(どい)駅は、この守口市にある、各駅停車のみでたどり着ける愛らしいローカル駅です。
駅前にロータリーがない小さな駅。とはいえ侮れません。改札口を出て徒歩わずか30秒で、駅のサイズに反した大規模な商店街が現れるのです。
「土居」駅から北西方向へと広がるアーケード商店街は、昭和レトロムードが充溢。「このご時世に、よくこんな時間が止まったような場所が残っていたなあ」と感心。青果店、精肉店、鮮魚店、お惣菜屋さんなどなど、地域密着な個人商店およそ150軒がひしめいています。訊けば1940年代にはすでに商店街が形成され、往時から代を継ぎながら営業する古いお店も多いのだとか。
なんと「かぶりもの」で商店街おこし
そしてこの一大アーケード商店街は、2017年4月から、ある「商店街おこし」に取り組んでいます。それが“かぶりもの”でお客様をもてなす、その名も「かぶりもの笑店街」。
「かぶりもの笑店街」とは、毎週土曜日の午前11時から正午まで1時間、店主さんや店員さんがめいめい頭や顔に変装アイテムを装着して接客をする、言わば定期開催のコスプレイベント。
アーケード商店街に足を踏み入れると、いましたいました! かぶりものをした店主さんがあちこちに。
「たい焼き」をかぶった和菓子屋さん、自ら「ビールジョッキ」となったお寿司屋のおやじさん、「バタフライマスク」で妖艶な魅力をふりまくアクセサリーショップのマダムほか、老いも若きもこぞってかぶりもので商店街を盛り立てています。
このアーケードは「ポポラーレ土居」「京阪中通商店街」「京阪東通商店街」「京阪商店街」「旭通商店街」という5つの商店街が縦横に連結した集合体。それゆえ守口市土居町のほぼ全域が商圏となるほど広範囲にわたります。その5つの商店街が分断することなく、どの通りも曲がってもかぶりものでお客さんを歓待しているお店があるため、まるで“下町のユニバーサル・スタジオ・ジャパン”と呼びたくなるファンタジックな一体感があるのです。