あの手この手で移住者誘致に力をいれる自治体が増加しています。そんな中、九州で過去5年にわたり最も移住者数が多い町があります。それが鹿児島県の霧島市。一体どんな取り組みをしているのでしょうか?
九州の中で移住先として人気NO.1の霧島市
近年、日本は、少子高齢化社会となり、人口減少時代に突入しつつあります。大幅な人口減少や高齢化が進むと、労働人口(つまり定年していない若い世代)が減り、企業が都会に出て行ってしまい、産業が衰退する等、地域社会の活力が落ち込むうえ、税収の減少により自治体の財政悪化などが起こります。そのため、日本のあちこちでは、「移住者」政策に力を入れる地方自治体が増加しています。
ここで言う「移住者」とは、単に「生活の場である居住地を変えた者」という意味だけではありません。都会、はたまた他の地方から、自分たちの自治体に居住地を変えてもらうために、地方自治体は日夜取り組みを充実させようと努力をしています。「UIJターン」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?また、行政だけではなく民間でも動きが活発になっています。移住希望者の相談窓口を設けたり、新たに地域コミュニティを創出すべく団体を立ち上げたり、イベントを開催したり…全国で多種多様な取り組みが行われています。
そんな中、九州地方の鹿児島県の町、「霧島市(きりしまし)」が注目を集めています。2016年に、西日本新聞社が行った九州地方の7県の全市町村への「移住者政策」アンケートを実施した結果、回答のあった市町村のうち、過去5年間の移住者数のトップは鹿児島県霧島市の336人でした。
移住先として、なぜ霧島市が人気なのでしょうか? その秘密に迫ってみたいと思います。
外国人旅行客も増加。霧島市ってどんな町?
霧島市(きりしまし)は、鹿児島県本土の中央部に位置する市。人口はおよそ12万6千人、世帯数はおよそ6千世帯であり、鹿児島県で2番目に人口が多い市です(平成30年2月1日現在)。薩摩地方と大隅地方、そして宮崎県を結ぶ交通の要所であり、昔から鹿児島県内有数の都市として発展してきた経緯があります。
また、鹿児島空港の開港や、九州自動車道の開通により、テクノポリス(日本における高度技術集積都市)の指定を受けて、ソニーや京セラなどのハイテク産業が発展してきた土地でもあります。
また、日本神話はじまりの地である「高千穂峰」や、建国神話の主人公であるニニギノミコトを祀る由緒ある「霧島神宮」があるなどパワースポットが豊富なうえ、「霧島温泉郷」をはじめとした温泉も多様であり、「霧島ロイヤルポーク」「黒さつま鶏」など食も魅力的な、「観光スポット」として人気がある都市です。さらに、現在放送中のNHK大河ドラマ「西郷どん」の舞台のひとつにもなっています!
そんな霧島市の豊かな文化に惹かれて、最近では霧島市を訪れる外国人観光客も増えてきているようです。
また、『田舎暮らしの本』を発行する株式会社宝島社が『田舎暮らしの本』2月号で発表した「2018年版 住みたい田舎ベストランキング」では、人口10万人以上の「大きなまちランキング」の【シニア部門】トップ10にランクインしたほか、南九州エリアで第2位に輝いているなど、住みたい町として人気が高まっているようです。