近年、日本を旅行する外国人の観光客(訪日外国人観光客)が増え続けています。2017年の訪日外国人観光客数(累計)はおよそ2,869万人に達しました。政府は2020年に4,000万人訪日を目標として掲げており、インバウンド(外国人訪日旅行)は今後ますます増加すると予想されます。そんな状況を受け、日本各地で「インバウンドを増やそう」と積極的に取り組む自治体が増えています。今回は、日本で最も人口が少ないけれど積極的な取り組みを展開している「山陰」に注目しました。
「山陰」ってどこにある?
鳥取島根周遊モデルコース 花*花街道の山陰旅(鳥取県観光連盟)
さて、日本人でも、「山陰」ってどこ・・・?
という声が聞こえてきそうですが、中国地方の日本海側に位置する「鳥取県」と「島根県」をあわせて、「山陰地方」と呼ばれます。(ちなみに同じ中国地方で太平洋側に位置する「広島県」「岡山県」「山口県」は「山陽地方」と呼ばれます。)
「山陰」の両県は、日本の人口が少ない都道府県1位・2位を獲得しています(2015年10月1日 国勢調査人口より)。「鳥取県」が1位、「島根県」が2位で、いずれの総人口も、東京23区のうち第6位の杉並区と同じくらいの人口しかありません。
インバウンド人気急上昇ランキングで上位を占めていた!
そんな日本で最も人口が少ない「鳥取県」と「島根県」は、旅行予約サービス「楽天トラベル」 の発表した「2017年 訪日旅行(インバウンド) 人気上昇都道府県・人気都道府県ランキング」で1位・3位と上位を獲得しました。
【記事】なぜ島根が1位?外国人観光客に人気の旅行エリアランキング
第1位は「島根県」で前期比+135.0%と前年より35%も予約人泊数がアップしています。また、第3位にランクインした鳥取県は+130.9%と僅差でした。いずれも前期のランキング上位10位以内には入っていなかった県です。この1年間に、一体何があったのでしょうか?
インバウンド増加の要因は「積極的なプロモーション」にあった
島根県と鳥取県は2017年1月から、両県と山口県(萩・津和野地区)を横断する広域観光周遊ルート『山陰インバウンド機構公式サイト 縁の道〜山陰〜』を紹介するサイトを開設するなど、連携して国内外の誘客に注力しています。積極的なプロモーションの効果により、外国人旅行客が増加の傾向にあるといえるでしょう。
image by: 山陰インバウンド機構公式サイト 縁の道〜山陰〜
また、鳥取県では、米子鬼太郎空港を擁する「米子・皆生温泉・大山」エリアが最も伸びて+166.9%(約2.7倍)となり、香港からの予約人泊数が最も多くなっていました。2016年の香港航空による米子-香港線就航など、国際線の拡充が予約の増加を後押ししたと考えられます。
鳥取や島根を楽しむ訪日外国人観客の姿も
image by: Route Romantique San’in
image by: Route Romantique San’in
訪日客の誘致をアピールする「縁の道~山陰~」
観光庁は、インバウンドの地方誘客を促進するために、「広域観光周遊ルート」の認定を行っています。
これは、インバウンドに資するストーリーやテーマを設定し、具体的なモデルコースを中心に、地域の観光資源を活かした滞在コンテンツの充実、ターゲット市場へのプロモーション等、外国人旅行者の周遊促進の取組を支援するものです。
現在全国で11つの周遊ルートが認定されています。
image by: 観光庁
「山陰インバンド機構公式サイト 縁の道〜山陰〜 Route Romantique San’in」は2016年に認定され、日本の最も古い歴史を有する地域である山陰で「神話」「伝説」をテーマに、日本人が大切にする「縁」にスポットをあてたモデルコースが設定されています。
アクセスは、飛行機なら、米子鬼太郎空港、出雲空港のほか、岡山・広島・福岡空港、関西国際空港も組み込むことができます。また、JRを使って大阪駅・京都駅からアクセスも可能です。高速バスを利用するのもおすすめです。
image by: 「縁の道~山陰~」形成計画概要
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