全国にはさまざまなお雑煮がありますよね。それでも大まかに言って東日本は角もちにしょうゆベースのすまし汁、関西は丸もちに白みそ、中国や四国、九州は丸もちにしょうゆベースのすまし汁といった共通性があります。
ただ、このすまし汁と白みそという2大文化圏に入らないエリアが全国にはわずかにある様子。さらに、そのレアな文化圏の中でも、黒砂糖というユニークな具材を使用する土地があるとご存じでしょうか。
それがずばり、福井県の小浜(おばま)なんです。残念ながら伝承する家庭も少なくなり、地元の文化館が後世に残す活動をしているとの話。そこで今回は北陸に在住する筆者が、福井の小浜で食べられるユニークなお雑煮を再現してみました。
福井県の小浜市は「赤みそ文化圏」
そもそも福井県の小浜市とは、若狭湾国定公園に面した美しい海浜の町です。米国の大統領にオバマ氏が就任したときは、同じ名前という偶然を市民が大いに喜んでいたと記憶します。そんな小浜市の周辺には「黒砂糖のせお雑煮」が伝わっています。
冒頭でも触れた通り、全国のお雑煮は、しょうゆ仕立てのすまし汁と、白みその汁に大別されます。もちも角もちと丸もちに二分され、全国のほぼ全ての地域のお雑煮が、その組み合わせによってできているのですが、文化庁が編著した『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』を読むと、福井県の中でも若狭湾を囲む限られたエリアだけは、丸もちと「赤みそ」を使うという独特の文化圏に属しています。
福井県の小浜市もまさにこの「赤みそ文化圏」に入っており、赤みそを溶いた汁に煮た丸もちを入れています。さらに小浜市の場合は、その上に、
<包丁で刻んだ黒砂糖をのせる>(『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』より引用)
というユニークさがあります。丸もちを使ったお雑煮の発祥地である関西にほど近い福井の小浜ですから、煮た丸もちを使うという点は自然に思えます。しかし、赤みそと黒砂糖を乗せるという独特さは、関西の人からしても驚きですよね。
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