赤みそに黒砂糖…福井の若狭地域に伝わるユニークなお雑煮を作ってみた
みその塩味が黒砂糖特有の甘みとほどよく調和するお雑煮
レシピはとてもシンプルです。上述の書籍には、御食国若狭おばま食文化館提供のお雑煮レシピが掲載されています。材料は黒砂糖と丸もちと手作り田舎みそのみ。だしは昆布とかつお節です。だしについては東日本で主流のかつお節と、西日本で主流のコンブの両方を使うイメージですね。
作り方は、だし汁に田舎みそを溶き、器に移したらその中に丸もちを入れて、包丁で削った黒砂糖を乗せるだけ。実際に作って食べてみると、みその塩味が黒砂糖特有の甘みとほどよく調和して、「食事」の範ちゅうに入る控えめな甘さに仕上がりました。
子どもが居る家庭では、「もっとお砂糖を入れて」と子どもがせがむ光景もあったかもしれません。実際に筆者も子どもに食べさせてみると、「おかわり!」とぜんざいを食べるような雰囲気で、元気に2杯目を食べたがりました。一方でぜんざいのような甘すぎる食べ物が苦手な大人の男性でも、ほどよい甘さで食べられるため、試してみる価値があるかもしれませんよ。
ぜんざいという言葉が出てきたついでに、同じ日本海側の鳥取、米子、松江、出雲など山陰地方には小豆汁文化圏があり、お雑煮に小豆を利用するというユニークな食文化があります。ぜんざいほどは甘くしないと言いますが、
<角が立たない丸餅と、縁起ものと言われるあずきのお正月の味>(『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』より引用)
が、楽しまれているのだとか。2019年は元日、2日と定番のお雑煮を楽しんだ後は、若狭地方や山陰地方を思いながら、甘いお雑煮を作って食べてみると楽しいかもしれませんね。
- 参考
- 文化庁『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』
- 竹内由紀子監修『日本の「食」とくらし(1)地域ごとに比較しよう -お雑煮、そば・うどん、すし、みそ―』(学習研究社)
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