真っ暗な海の上で、船の安全のため、陸地を知らせるために岬から一筋の光を放つ灯台。なんだかロマンチックなイメージですよね。海外の観光地としてあげられることも多い灯台は、もちろん島国日本にも多数存在しています。
数々の航海を見守ってきた灯台は、岬に佇む姿もどこかノスタルジックでとても美しく、昼間に訪れると青い海とのコントラストがまた爽やかで、一枚の風景画を見ているような気持ちになることも。
そこで今回は、日本最北端の北海道にある美しい灯台をご紹介します。これから春が訪れる北海道でのドライブに、ぜひ出かけてみてください。
納沙布岬灯台(のさっぷみさきとうだい)/北海道根室市
北海道本土の中で一番東側に位置するのが「納沙布岬灯台」で、諸説ありますが一番早く太陽が登る場所としても知られています。真っ白な外観が美しい納沙布岬灯台からは、晴れた日には知床半島や北方四島を眺めることが可能です。
根室市から車で約30分、静かな納沙布岬に佇む納沙布岬灯台は、周辺環境と合わせて北海道らしさを満喫できる人気の観光地。日本で最初ということもあり、初日の出には多くの人が訪れます。
打ち寄せる波の音と真っ白な灯台を眺めながらのんびりと時間を過ごしたり、ちょっとノスタルジックな気分に浸るにはぴったりの場所です。
花咲灯台(はなさきとうだい)/北海道根室市
北海道となると、凍てつくような寒さと吹き抜ける海風のあおりを受ける、厳しい環境に立つ灯台をイメージする方もいるかもしれません。
しかし「花咲灯台」の佇む花咲岬周辺はそのイメージを大きく覆すもの。灯台周辺は緑に囲まれており、季節によってはその名の通り、色とりどりの花も咲くとても美しい場所です。
緑の中に見えてくる、鮮やかな赤色と白のコントラストが目立つ木造の小さな灯台が花咲灯台です。初めて点灯されたのは1890年と、70年もの長い時間、漁港を見守ってきました。
また花咲岬灯台の前には、国の天然記念物にも指定されている「車岩」があります。放射線状に重なり合った岩が重厚感たっぷりの車岩は必見です。
落石岬灯台(おちいしみさきとうだい)/北海道根室市
根室半島の付け根、太平洋側に佇む「落石岬灯台」は、北海道の数ある灯台の中でも周辺を含めた景観が素晴らしく、なおかつ人のあまり訪れない穴場でもあり、雰囲気たっぷり。
アカエゾマツの森を抜け、草原と呼んでも良いような小道を抜けていくとこの灯台が現れます。途中の道では野生のシカなどに出会うことも。驚かせてしまわないように注意しましょう。
雪深い北海道で、雪が降る中でも目立つようにと赤と白に塗られた灯台、さらに水平線の青と周辺の緑とのコントラストが美しく、まるでヨーロッパの田舎町にいるような気分にさせてくれます。
襟裳岬灯台(えりもみさきとうだい)/北海道えりも町
演歌の歌詞にも登場したことのある、北海道の中でも非常に有名な襟裳岬。岩礁が続くその岬の先で海を明るく照らしているのが「襟裳岬灯台」です。
カモメの飛び交う襟裳岬は年間を通してとても風が強く吹くことから、襟裳岬灯台は「風の灯台」という美しい異名を持っています。襟裳岬灯台から望遠鏡を使って海を覗いてみると、運が良ければゼニガタアザラシの群れを見ることもできますよ。
チキウ岬灯台(ちきうみさきとうだい)/北海道室蘭市
地球岬、正確にはチキウ岬と呼ばれる美しい岬は、北海道の室蘭市に位置しています。チキウと言うのはアイヌ語で「断崖」を意味しており、その名の通り勇ましい断崖絶壁が広がっています。チキウ岬は美しいだけではなく、自然の恐ろしさを肌で感じることのできる場所です。
そこにある「チキウ岬灯台」は、断崖絶壁をすぐそこに、凛とした表情で海を見下ろしています。普段は立ち入り禁止となっており、年に数度だけ、一般公開が行われます。
ほとんど人が訪れないこの場所で、数え切れないほどの船を見送って来たのかと思うと、なんだか少し切ない気持ちにもなる、ノスタルジックな雰囲気が漂う場所です。
真っ白な美しい灯台の周辺は公園が広がり、のんびりとした時間を過ごせます。お昼間の青空の下で見る灯台も美しいのですが、夕日で赤く染まる灯台もとても美しく感動しますよ。
恵山岬灯台(えさんみさきとうだい)/北海道函館市
函館市内から車で1時間ほどのところにあるのが「恵山岬灯台」です。灯台の周辺は恵山岬公園としてきれいに整備されており、太平洋と津軽海峡に面したとても風光明媚な場所です。
美しい場所にも関わらず観光客も少ないので、天気の良い日には食事をテイクアウトしてピクニック気分で訪れれば、のんびりした時間を過ごせますよ。
灯台と聞いてイメージするそのものといった感じの白壁の灯台は海岸からも近く、北海道の端に来たことを実感させてくれます。天気の良い日には遠くに本州が見えることもありますよ。
稚内灯台(わっかないとうだい)/北海道稚内市
北海道の数ある灯台の中でも一番の大きさ、全国で見ても2番めの高さを誇るのが「稚内灯台」です。道北の中心である稚内市からはバスで10分程度、本州とは違う北海道の街並みを見ながら歩いて1時間程度で行ける「野寒布岬(ノシャップ岬)」に位置しています。
赤と白のストライプに塗られた灯台はノシャップ岬公園からも、近くにある水族館からも顔を覗かせています。
稚内からは利尻富士で有名な利尻島や高山植物の島・礼文島へのフェリーが出ており、船の往来も多くとても重要な灯台です。夕日が有名なので、ぜひとも夕暮れ時に訪れましょう。その美しさには、思わずため息が出てしまいますよ。
宗谷岬灯台(そうやみさきとうだい)/北海道稚内市
「稚内灯台」と同じく、稚内市に立つ「宗谷岬灯台」は、国境の灯台であり日本最北端の地としても知られています。大海原の果には樺太を見ることができ、迫力も満点。パノラマ撮影でも収まりきらない景色は、訪れた人だけが味わえる感動を与えてくれます。
観光の中心である宗谷岬のモニュメントよりも少し高台に位置しており、灯台付近からはモニュメントも含む美しい景色を眺めることができます。
なお、真冬の時期は雪で近くまで行けなくなるので、季節の良い時期を選びましょう。こちらも稚内灯台と同じく赤と白のストライプ。それほど背は高くなく、どこかかわいらしい雰囲気を醸し出しています。
知床岬灯台(しれとこみさきとうだい)/北海道斜里郡斜里町
北海道の最果てという言葉がぴったりの知床半島、そのさらに端に位置してるのが「知床岬灯台」です。国立公園や自然世界遺産にも登録されている北海道屈指の観光地である知床は、一度は訪れたい場所。そして知床半島を訪れたなら、先端近くの灯台も欠かせません。
実は知床半島は、その自然を守るために上陸が許されていない部分も多いエリアです。そのため、知床灯台を見るには観光船に乗船する必要があります。大自然の残る知床半島のクルーズはシャチやイルカの群れに遭遇することもある、大人気のアクティビティです。
またウトロ港からもクルーズ船が出ています。観光船の種類はいくつかありますが、灯台を見るためには知床岬航路を選んで乗船しましょう。
船は自然の作り出した美しく迫力のある景色の中を進んで行きます。途中には大きな滝があったり、有名な羅臼岳もあるので、北海道の自然を満喫できる旅になること間違い無し。
知床岬灯台は遠くに白と黒のツートンカラーでその姿を見せてくれます。見逃しやすいので注意しましょう。
北海道に来たと言う実感、自然の雄大さをその目で見られる体験は、とても貴重なものです。特に灯台は陸地の先端に位置していることもあり、海も合わせて地球の大きさを感じることができる特別な場所です。
これからの時期は、ぜひ北海道の灯台を旅の目的地のひとつにして楽しんでみてはいかがでしょうか。
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