みなさんは「 ヒヌカン (火の神)」という言葉を聞いたことがありますか? 今回は、ウチナーンチュ( 沖縄 人)、もしくはよほど沖縄に詳しい方でないと知らないであろう、このヒヌカンについてご紹介します。
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ウチナーンチュがヒヌカンを祀る2つの説
ヒヌカンとは、ウチナーンチュにとっては身近な、かまどの火の神様のことなのですが、沖縄では古来よりこのヒヌカンを祀り、拝むという行為が代々受け継がれてきました。
なぜ、ウチナーンチュは火を神として祀るようになったのでしょうか。諸説ありますが、文明の礎としての火、つまり生命にとって重要な「食」や「住」を支える火を祀り・拝む民間信仰だと考えるのが一般的です。古今東西の文明に伝わる火への信仰と比較しても自然だと思います。
ただし、「おもろさうし(16世紀頃、首里王府によって編纂された歌謡集)」や「琉球国由来記(18世紀頃、王府が編纂した体系的な最初の地誌)」では、ニライカナイ(海の彼方にあるとされる理想郷)や太陽神とのかかわりを示唆しており、沖縄固有のヒヌカン信仰の理由が別に存在するという説もあります。
すなわち、海に囲まれている沖縄では、古代より人々は日の昇る東の遙か彼方に、ニライカナイがあると信じ崇めてきました。
そしてそのニライカナイから昇る太陽を崇め、いつしか火は日の昇るニライカナイからもたらされたと考えられるようになった、という説です。僕はどちらも正解だと思います。
元来ヒヌカンの信仰はかまどそのものを拝んだそうですが、やがてかまどをかたどった3個の石をご神体として拝むようになったと言われています。さらに燃料の変遷にともなって台所が著しく変化した結果、現在は陶製の香炉を置いて火の神の象徴とすることが多くなっています。
沖縄では仏様よりヒヌカンが格上
ちなみに、沖縄諸島に仏壇が登場したのは17世紀のことで、それ以前の家庭を守る神はヒヌカンだけだったそう。ですから沖縄ではヒヌカンが仏様より格上な感じと考えていただけるとわかりやすいかもしれませんね。
したがって現在でも家庭における重要なできごとは、最初にヒヌカン、つぎに仏壇を拝む順序になっています。また、通常ヒヌカンを祀るのは女性(妻や母)で、仏壇を祀るのは男性(夫や父)とされています。
ヒヌカンは、台所の火を使う場所近くに祀り、ヒヌカン神具の色はすべて白で統一します(白は神様の衣装から起因しており、それに対して祖先を祀る仏具は着物などのように色・柄が入っていいとされてます)。具体的には、以下の神具を配置します。
1.ウコーロー(御香炉)
2.花瓶(花は飾らずチャーギ、クロトン、榊など)
3.湯呑(水は毎日かえます)
4.たかつき(塩を盛ります)
5.盃(旧暦1日、15日に泡盛を入れます)
※1.〜5.はそれぞれ1器のみで常設となります。
6.ウブク茶碗(三器、旧暦1日、15日にご飯を盛ってお供えします)
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