日本人が移民大国「カナダ」で体験したカルチャーショック

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憲法で「多文化主義」をうたっているカナダ

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ちなみにカナダでは、憲法ですら多文化主義をうたっています。「憲法」という言葉を『広辞苑』(岩波書店)で調べると

<国家存立の基本条件を定めた根本法>

<通常他の法律・命令を以て変更することを許さない国の最高法規>

と書かれています。カナダにおいても憲法はもちろん同様の役割を果たしており、その憲法にカナダの国是として多文化主義を掲げているのですね。国のゆるぎない考えのひとつとして多文化主義があり、

<This Charter shall be interpreted in a manner consistent with the preservation and enhancement of the multicultural heritage of Canadians.>(Government of Canadaのホームページより引用)

(この憲章の解釈は、カナダ人の多文化遺産の保持、および促進と合致する形で行われなければならない)

と、はっきりと憲法に記されています。この場合の多文化主義とは、後述する公式言語の問題、ケベック州の問題、ファーストネーションズ(インディアン)との関係などを想定しているはずですが、一方で国是として受け入れてきた海外からの移民の文化尊重も含まれています

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隣国のアメリカのように移民一人ひとりが自分の出自を意識しながらも、「アメリカ」というカラーに沿って生活するのではなく、移民者はそれぞれが自分の出自や出身国の文化を保ったまま、カナダ社会に適応しようと試みるということですね。

国家の側も移民にはカナダの社会ルールや慣習に適応を求めながら、各人の持ち込む文化を認め、異なる文化グループや民族集団がお互いに尊重しあえるような社会づくりを目指しています。憲法で定めてまで、容易ではない「社会実験」に挑んでいるといえそうです。

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