東京のシンボルがなぜ埼玉に?深谷にあるソックリ「東京駅」の歴史

深谷のレンガの歴史を学べる旧煉瓦製造施設

煉瓦資料館は日本煉瓦製造株式会社の跡地をそのまま利用した施設で、資料館として開放されている旧事務所、そのほか4施設が1997(平成9)年に国指定重要文化財となっています。

この施設には日本全国に4基(深谷市、栃木県野木町、京都府舞鶴市、滋賀県近江八幡市)しか現存していないホフマン窯という珍しい窯があり、内部を見学することができます。

しかし現在は窯の保存修理のため、2019年2月1日から2023年(4年後)まで通常見学が休止になっており、残念ながら今回は内部見学をすることができませんでした。

煉瓦資料館です。和洋入り混じった雰囲気の外観ですね

窯の内部の見学はできませんでしたが、資料館には窯の内部写真や資料がそろえられているため、その歴史を知ることは可能です。また、館内にはボランティアのスタッフの方がいて、レンガや深谷の歴史などについてのお話を聞かせてくれます。

ボランティアの方の話では、通常見学再開までの間に特別見学などを行うことがあるのではないかとのこと。興味がある方は深谷市の広報やホームページをチェックしてみることをおすすめします。

ホフマン窯の外観。建屋は、建て替えられたもので、煙突の途中にある「へ」の字部分が以前の建屋の屋根だったそう

ちなみにホフマン窯というのは、大きなドーナツ型をした窯であり、レンガを大量生産するために考案された連続焼成窯です。“ホフマン”というのはこの窯の構造を考案したドイツ人技術者の“フリードリッヒ・ホフマン”の名前に由来するものです。

色々な種類のレンガを見る事もできます
当時の様子を垣間見ることができる歴史的資料と、窯内部の写真

なぜドーナツ型の窯だと連続焼成が可能であるのかを簡単に説明すると、焼き物の焼成過程で必要とされる“予熱”、“搬入”、“加熱(焼成)”、“冷却”、“取り出し”という各工程を、効率的に行うことを可能としているからです。

具体的には、ホフマン窯の内部は長手方向に複数の部屋に仕切る事が可能な構造とされており、隣接する窯の加熱時の熱を利用して予熱を行い、隣接する窯の冷却と同時に加熱を行うことができるようにしています。

驚いたのは、窯を予熱する際の仕切りにを使っていたということ。加熱時には紙の仕切りは燃え尽きてしまうとのことだったので、仕切りの切り替えのタイミングがイメージしづらいかと思いますが、窯を一周するのに1カ月半から2カ月かかるとのお話だったので、そこにも色々と工夫があったのでしょう。

最盛期の日本煉瓦製造株式会社の様子を示す模型。6基のホフマン窯があります

最盛期には敷地内に6基のホフマン窯があったそうですが、現存しているのは6号基のみだそう。ちなみに4号基は東京駅のレンガ専用の窯だったそうですが、製造途中で火災により焼失してしまったそうです。

このため4号基焼失後の東京駅のレンガは、品川白煉瓦株式会社(現:品川リフラクトリーズ株式会社)により製造されることとなりました。

国指定重要文化財の煉瓦造りの変電施設

現在は内部見学ができない代わりに、ホフマン窯について学べる資料『ホフマン通信』が発行されており、深谷市のホームページからもダウンロードすることができます。

深谷市には煉瓦資料館以外にも歴史的なレンガ建造物が多数あり、いずれの施設も見学無料です。興味を持った方は、レンガの歴史を学びに深谷まで足を運んでみてはいかがでしょうか。

※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。

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