もうハートは離れない。きっと思いが伝わる「愛染寺」縁結びの絵馬

ハートの木型を絵馬にはめる「一心絵馬」

image by:坂本正敬

この愛染寺が考案したユニークな絵馬が、「一心絵馬」になります。何より際立っているユニークさは、絵馬にハートのプレートをはめ込むというコンセプト。

赤いハートの裏に求める良縁を書き、木型にはめ込みます。筆者が訪れた日は連休だったからでしょうか。お寺には若い女性が次から次へと訪れて、絵馬を奉納していく姿が見られました。

image by:愛染寺

「一心絵馬」を作った背景を愛染寺の住職、竹内秀岳さんに聞くと、

縁結び安産にご利益が有る愛染明王さまを、恐らく当寺は日本唯一の方法でお祭りしております。このことを皆さまに知ってほしいと思い、いろいろと工夫をし、相談をしながら、絵馬を作りました」

との話がありました。

絵馬が誕生した時期は、2010年の秋。製作を担当する職人、ハート部分の漆塗りを担当する職人、印刷屋、デザイナーなどとともに、住職の竹内さんが作り上げたのだとか。

その後「はめ込み式絵馬」は、実用新案登録を特許庁から取得したとも言います。

image by:坂本正敬

実際に絵馬を奉納していく参拝者たちの様子を聞いてみると、

「2枚の板をご自身ではめ込んで、一体の絵馬として完成をさせます。より気持ちを込めて奉納できるはずですし、記憶にも残るはずです。一定方向でしかはめ込めませんし、奥に抜け落ちることもございません。皆さん、繊細な技術に一様に驚かれます」

との話でした。確かに筆者が足を運んだときにも、絵馬の奉納の仕方を説明する住職の話に、若い女性たちが驚きの声を漏らしながら聞き入っている姿が、目に留まりました。

image by:M坂本正敬

これだけ絵馬があるのですから、恋愛成就に関して、奉納した人から何か感謝のお便りなどが届いた経験はあるのか聞くと、

「お寺や宗教が、ご利益を営業として語る行為には問題があると思っています」

と、住職である竹内さんは言明を避けました。

「ただ、もしご質問にあるような事が何も無いのであれば、あのような絵馬の数にはならないはずですよね」

との言葉も。

最後は良縁を求める人が、自らの価値観に従って絵馬を奉納をするかどうかを決めればいいのですね。

境内から眺める柴山潟 image by:坂本正敬

愛染寺は京都や奈良、金沢などにあるような観光寺ではありません。

しかし、お寺全体にどこかウェルカムな雰囲気があって、境内をのんびりと散歩しながら、柴山潟と白山の眺めを満喫しても怒られません。

image by:坂本正敬

片山津温泉は、北陸自動車道の片山津I.C.からすぐ近く。その片山津温泉の総湯(日帰り入浴も可)から、徒歩で行ける高台に愛染寺はあります。もちろん、お寺には駐車場も用意されています。

関西方面から加賀温泉郷に行く、あるいは金沢、富山方面から足を延ばして加賀温泉郷に行く場合は、愛染寺にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。日ごろから心にある良縁を求めて一心絵馬を奉納すれば、旅の思い出にまた1つ、鮮やかな色どりが加わるはずですよ。

  • 愛染寺
  • 石川県加賀市片山津温泉11-3-5
  • JR「加賀温泉駅」下車、バスまたはタクシーで約10分
  • http://aizenji.jp/
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