西伊豆の「大瀬崎」は、駿河湾越しに富士山を見ながら潜れるダイビングスポットとして有名です。湾に細長く張り出した半島のおかげで、湾内は、台風が直撃でもしない限り潜れない日は無いというほど穏やかです。
しかも小さなウミウシから、ときにはリュウグウノツカイといった珍しい深海魚まで見られることもある、多彩な生物に恵まれた豊かな海です。そのため、初心者からベテランまで楽しめる関東圏ダイバーのホームグラウンドになっています。
今回は、愛嬌いっぱいのカエルアンコウや、瓶のなかから顔をのぞかせる可愛いミジンベニハゼなどなど、魅力あふれる大瀬崎の小さな生物をご紹介します。
関東圏ダイバーのホームグラウンド「大瀬崎」
大瀬崎は、1980年ごろにはダイバーが訪れるようになっていた、歴史あるダイビングスポットのひとつです。それだけに、ダイバーを安全に楽しませる工夫が随所に施されています。
海底には廃船や古タイヤ、鳥居まで、さまざまなものが漁礁がわりに沈められており、不思議な水中景観を醸し出しています。そうした漁礁には海岸から伸びるロープをたどっていけば簡単にたどり着け、そこに集まる海の生物を安全に観察できるようになっています。
こちらは「犬面ポイント」。沈船に一対の犬の面が置かれているので、そう呼ばれています。その一枚を誰かがイタズラで舳先にかけたようで、お散歩中にも見えますね。
大瀬崎のアイドル・ミジンベニハゼ
今回のお目当ては、大瀬崎のアイドル・ミジンベニハゼ。住まいは水深20mの砂地に捨てられた空き瓶です。静かに近寄ると、瓶の口から奥の方で、黄色い小魚が動くのに気づきます。
しばらく静かに待っていると、可愛い姿を見せてくれるはず。その後ろから、さらに小ぶりにミジンベニハゼが心配そうに顔を覗かせるかもしれません。
ときには警戒しながら瓶から泳ぎだすことも。アイドルとして人気のミジンベニハゼの、意外と凛々しい姿に驚かされます。残念ながら、深度のあるミジンベニハゼの住まいには長居はできないため、アイドルとの一瞬の出会いを楽しんでみてください。
鉄パイプの巣穴に住むイソギンポ
次に訪ねたのは、水深12m程度のところにある、鉄パイプ製のミニ漁礁です。ここに集まるタカノハダイやキンギョハナダイなどを観察していると、パイプの先端で何か動くものが。頭に生えた二本の角が目印のイソギンポです。
イソギンポは通常岩場に住む魚で、岩陰に隠れて観察しにくいこともありますが、ここなら存分に近づけて便利です。撮影しようとするとパイプのなかに引っ込んでしまい、レンズをよそに向けると体を伸ばす天邪鬼です。
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