2歳と4歳の娘が突然、『ゲゲゲの鬼太郎』に熱中し始めました。こなきじじ、いったんもめん、ぬりかべ、すなかけばばなど、おなじみのキャラクターが登場しますが、無知の筆者はこれらの妖怪が、水木しげるの創作だと勝手に思い込んでいました。
さらにいえば、宮崎駿監督の映画『もののけ姫』に出てくるだいだらぼっちやこだまも、監督の創作かと思っていました。
しかし、昔から存在が信じられてきた日本の妖怪だったと、『みたい!しりたい!しらべたい!日本の妖怪大図鑑』全3巻で知ったのです。
そこで今回は旅メディアのTRiP EDiTORらしく、特定の場所に行けば会えるかもしれない、日本の妖怪を紹介します。遅めの夏休みで、これからどこかに旅をしようと思っている人は、ぜひとも旅先選びの参考にしてみてくださいね。
妖怪ファイルその1:てなが(手長)、あしなが(足長)
最初は手長(てなが)と足長(あしなが)。文字通り手が長い、脚が長い妖怪で、その手足の長さは、日本海を行く船を陸上に引き寄せられるくらいのサイズになるそう。
出没する(した)場所のひとつは、秋田県と山形県の県境にそびえる標高2,236m(新山の方)の鳥海山(ちょうかいさん)です。出羽富士、秋田富士ともいわれ、すそ野が海まで続いている名峰ですね。
鳥海国定公園にも指定されている二重式成層火山ですが、この山には手長、足長といわれる巨大な山鬼が暮らしていたと考えられていたそうで、ふもとを通る旅人や日本海を横切る船を、その長い手、長い脚でかき寄せて、食べると恐れられていました。
その悪行に怒った神様が、手長、足長の出現を知らせるカラスをよこし、妖怪が出てきたときに「有や(うや)」、出ていないときには「無や(むや)」と鳴かせたそう。
そのため鳥海山のふもとにある峠道は、有耶無耶(うやむや)の関と呼ばれているのだとか。
それでも手長、足長の被害がやまなかったため、高名な僧侶が100日間の祈りを通じて鳥海山を噴火させ、頂上もろとも手長、足長を吹き飛ばしてしまいました。
その吹き飛んだ一部が、ウミネコ繁殖地として知られる鳥海山沖の飛島になったともいわれているのだとか。
岩波書店『広辞苑』にも、
<手のきわめて長いという想像上の人間>(『広辞苑』より引用)
と書かれています。鳥海山やふもとの有耶無耶の関跡を訪れるときは、手長、足長の存在を感じながら旅行を楽しみたいですね。
ちなみに長野県の上諏訪にも、手長、足長の伝説があるみたいですよ。