こんなところにミステリー。日本で出会えるかもしれない伝説の「妖怪」たち
妖怪ファイルその2:おさかべ(長壁)
次は兵庫県の世界遺産、姫路城に出ると信じられた妖怪(神様)です。その名を長壁(おさかべ)と呼び、岩波書店の広辞苑では「おさかべぎつね」として、
<姫路城の守護神。刑部大明神の正体と伝える老狐>(岩波書店『広辞苑』より引用)
と書かれています。姫路城の天守閣に住む守り神で、村上健司著『妖怪事典』(毎日新聞社)によれば、人の出入りを嫌い、年に1度だけ城主だけが会える山の神様なのだとか。
その正体は幽霊、老ギツネ、ヘビなどといわれているみたいですね。
この守護神についてはさまざまな言い伝えがあり、その1つが宮本武蔵の妖怪退治で、宮本武蔵が姫路城の城主に、妖怪退治を命じられた話です。
明かりを持って宮本武蔵が天守閣に登ると、行く手をはばむ怪奇現象が立て続けに起こります。ひるまずに宮本武蔵が最上階まで登って明け方まで番をしていると、
<美しい姫が現れ「われこそは当城の守護神、刑部明神なり。その方がこよい参りしため、妖怪は恐れて退散したり。よって褒美にこの宝剣を取らす。」といって姿を消しました>(姫路市の公式ホームページより引用)
とあります。この姫が「長壁姫」とも呼ばれるおさかべなのです。
思えば姫路城には、「1枚、2枚…」と夜な夜な数え上げるお菊の井戸といわれるミステリースポットも存在しています。
もっともこの『皿屋敷』の怪談話は、江戸の番町(東京都千代田区)、高知県幡多郡、長崎県福江市、福岡県嘉穂郡など他の場所にもあり、『播州皿屋敷』がオリジナルではないと『日本昔話事典』(弘文堂)にも書かれています。
しかし、この世のものではない「何か」が存在していた時代の空気を、姫路城に感じに出かけてみる話も面白いかもしれませんね。
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