こんなところにミステリー。日本で出会えるかもしれない伝説の「妖怪」たち

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2019/08/21

妖怪ファイルその3:だいだらぼっち(大太郎法師)

琵琶湖 image by:Shutterstock.com

映画『もののけ姫』にも、シシ神の夜の姿として、大太郎法師(だいだらぼっち)が描かれていました。大太郎法師は宮崎駿監督の創作ではなく、関東、中部を中心に、東北から四国と各地で信じられていた巨大な妖怪なのだとか。

だいだらぼっちのイメージに近いといわれる、勝川春章・勝川春英画『怪談百鬼図会』の「大入道」image by:[パブリック・ドメイン],via Wikimedia Commons

滋賀県の琵琶湖はそもそも大太郎法師が掘った穴だという話もあるそうで、その掘った穴の土を運ぶ途中で落とした場所が富士山だともいわれています。

滋賀県で掘った穴の土を、静岡県と山梨県で積み上げるとすれば、その巨大さは尋常ではありませんよね。

岩波書店の広辞苑には、

<絶大な怪力を有し、富士山を一夜で作り、榛名山(はるなさん)に腰かけ利根川で脛(すね)を洗った>(広辞苑より引用)

と書かれています。榛名山(榛名富士)とは標高1,391m、群馬(上毛)の3名湯と言われる伊香保温泉から近い複式成層火山で、赤城山、妙義山と上毛三山のひとつといわれています。

榛名山の山頂から利根川までの距離は、手元の地図を使った目測でいうと、およそ15km。

榛名山(榛名富士)image by:Shutterstock.com

高さ1,391mの椅子に腰かけてすねを洗うとなると、ひざを立ててお山座り(体育座り)のように腰かけ、川の水を手ですくってすねを洗っている可能性が高いです。

そうなると、少なくとも脚の付け根からひざまでの長さが15km以上だと予想されます。仮に15kmと見積もれば、ひざ下の長さも同じくらいの15kmになると想定されます。

また下の長さは合計で30km、上半身の長さが40kmだとすれば、全長が70kmという計算になります。70kmといえば、東京の新宿に足を置いて西に頭を向け横たわると、腰が八王子のあたり、頭が山梨県の大月の手前まで届きます。


寝そべったまま両腕を上げて伸び上がれば、手の指先が甲府まで届くかもしれません。そのくらいの巨人であれば、確かに琵琶湖を掘って、富士山を盛り上げるくらい、たやすいはずですね。

竹原春泉画『絵本百物語』より「讃岐の手洗ひ鬼」image by:[パブリック・ドメイン],via Wikimedia Commons

ちなみに大太郎法師の一族として、手洗い鬼(てあらいおに)という巨大な妖怪も存在しているのだとか。香川県に出没する妖怪で、この巨人も1歩が4kmほどあったそう。

これだけ巨大な存在を信じられる(られた)人間の想像力は、誠に素晴らしいものですよね。

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