「どちらにしようかな」海外ではなんていう?世界の数え歌を調べてみた
「どちらに(どれに)しようかな天の神様のいうとおり」という、何かを選ぶときに使う数え歌が日本にはありますよね。それは地方・地域によって、バリエーションがとっても豊富です。
前回ご紹介した記事では、日本の数え歌の地方色についてご紹介しましたが、今回は視野を広げて世界の代表的な数え歌を調査してみました。
英語は「イーニー・ミーニー・マイニー・モー」
最初は英語から。「どれにしようかな」を英語で何というのでしょうか。同じ英語でもイギリス英語とアメリカ英語で異なるとされていますが、アメリカ英語でよく歌われる選び歌を紹介します。
- Eeny meeny miney mo,
- (イーニー・ミーニー・マイニー・モー)
- Catch a tigger (= tiger) by his toe;
- (キャッチ・ア・タイガー・バイ・ヒズ・トー)
- If he hollers, let him go,
- (イフ・ヒー・ホーラーズ・レット・ヒム・ゴー)
- Eeny meeny miney mo.
- (イーニー・ミーニー・マイニー・モー)
- ※太字+下線で指を動かす
このなかでも、印象的な表現は最初と最後で繰り返される「Eeny meeny miney mo(イーニー・ミーニー・マイニー・モー)」ですよね。
『Oxford Learner’s Dictionaries』によると、特に意味と由来は掲載されておらず、人や物を選ぶ際に使う歌として紹介されています。さらに、
<the person or thing pointed to on the last ‘mo’ is chosen>(『Oxford Learner’s Dictionaries』より引用)
最後の「モー(mo)」で指さされた人や物が選ばれるとありますから、「どれにしようかな」の「な」の部分が「モー」だと思えばいいのですね。
ちなみに、3行目の「holler(s)」は「叫ぶ」といった意味。「もし、トラが叫ぶようなら、話してあげな」という歌になります。
この歌は、他の英語圏、フランス語、デンマーク語、ジンバブエ語圏でも歌われていて、かなりの認知度を世界で誇るみたいです。
フランス語は「アン・スタン・グラム」
次は、フランス語です。先ほど紹介した英語圏の選び歌は、
- Une, mine, mane, mo,
- Une, fine, fane, fo.
と、フランス語でも歌われているようです。冒頭は「ウン・ミン・マン・モー」という発音ですね。とはいえ実際には、
- Am, stram, gram,
- (アン・スタン・グラム)
- pic et pic et colégram,
- (ピッ・キ・ピッ・キ・コレ グラム)
- bour et bour et ratatam
- (ブ・レ・ブ・レ・ラッタッタム)
- Am, stram, gram.
- (アン・スタン・グラム)
- ※太字+下線で指を動かす
という歌の方が有名みたいです。
冒頭と最後で繰り返される言葉は「アン・スタン・グラム」で、意味は、英語の「Eeny meeny miney mo」です。
- pic et pic et colégram,
- bour et bour et ratatam
の部分もリズム良く繰り返されるので、選んでいて楽しそうですね。
ちなみに、太字と下線を引いた部分で指さしを繰り返し、2回目の「Am, stram, gram」が終わったら最後に「Pic!」といって選ぶのだとか。
イタリア語は「アンバラバ・チッチ・コッコ」
フランス語と同じラテン語のスペイン語にも「どれにしようかな」はもちろんあります。
- De tin marín de dos pingüé,
- (デ・ティン・マリン・デ・ドス・ピングエ)
- Cúcara, mácara, títere fue,
- (クカラ・マカラ・ティテレ・フエ)
- Yo no fui, fue Teté,
- (ヨ・ノ・フイ・フエ・テテ)
- Pégale, pégale, al quien fue.
- (ペガレ・ペガレ・アル・クイエン・フエ)
- ※太字+下線で指を動かす
「Eeny meeny」の部分は冒頭の「De tin marín」辺りが該当するみたいですね。
さらに同じラテン語のイタリア語では、
- Ambarabà Ciccì Coccò
- (アンバラバ・チッチ・コッコ)
- ※太字+下線で指を動かす
でスタートさせて、まさにこの部分が「Eeny meeny miney mo」に該当するみたいです。
もちろん、他のバージョンもあるみたいですが、選び歌のスタートは音の気持ちいい言葉がどこの国も並べられていると分かります。
フィンランド語は「エンッテン・テンッテン・テーリカメンッテン」
最後は、フィンランド語の「どれにしようかな」を紹介しましょう。他の国と同じく、フィンランド語のバージョンもさまざまなバリエーションがあるようですが、
- Entten tentten teelika mentten
- (エンッテン・テンッテン・テーリカメンッテン)
- hissun kissun vaapula vissun
- (ヒッスン・キッスン・ヴァープラ・ヴィッスン)
- ※太字+下線で指を動かす
で始まる選び歌が広く知られており、特に冒頭の「entten-tentten-teelika-mentten」は、
<A children’s counting-out game similar to eeny, meeny, miny, moe.>(WordSenseより引用)
と意味が辞書に記載されています。
英語の「Eeny meeny miney mo」に似た遊びで子どもが数え上げる際に行うといった解説が加えられています。
このあとに続くアレンジはさまざま存在するようですが、やはりリズミカルに読み上げていく点では、世界各国共通するようですね。
日本にすら膨大なアレンジがあるのですから、世界にはそれ以上のアレンジが存在します。だからこそ、外国旅行で現地の人と話す時に、不意に現地の選び歌を口にできたら、相手への衝撃度はかなり高いはず。
日本語が話せない外国人旅行者が「どれにしようかな」とかいい始めたら、驚いてしまいますよね。同じように、訪れる国の言語で「どちらにしようかな」を覚えて仕込んでおくと、何かの拍子に現地でヒーローになれるかもしれませんよ。