こんなところにミステリー。日本で出会えるかもしれない伝説の「妖怪」たち

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2019/08/21

妖怪ファイルその4:キジムナー

沖縄のガジュマル image by:Shutterstock.com

沖縄にも妖怪はたくさん居り、その代表的な存在がキジムナーです。木の精霊の一種で、琉球語が語源のガジュマルの古木に宿る霊魂なのだとか。昔話にも登場して、

<一般に赤ら顔、赤いちぢれ髪をたらしている子どもだと伝えられるが、全身毛でおおわれているとも、猿に似た童形をしているとも、7歳の女の子どもともいう>(『日本昔話事典』弘文堂より引用)

とあります。沖縄では旧暦の8月10日(新暦の9月)前後になると、マジムンと呼ばれる魔物や妖怪が活発に動き始めると信じられています。

これらの妖怪を追い払う祭りとして、柴挿(しばさし)が行われるのだとか。柴挿とは、

<奄美(あまみ)・沖縄地方で、旧暦8月に行われる祭り。この日に屋敷や畑にススキを挿して魔除けとし、また墓詣りをする土地もある>(岩波書店『広辞苑』より引用)

と書かれています。まさにこの旧暦8月10日にキジムナーも火を燃やし、海上を素早く動き回ります。キジムナーは魚捕りも得意な妖怪。その会場を動く火に声をかけると、魂を取られるという言い伝えもあるみたいです。

キジムナーについては、沖縄でマスコットキャラクターにも使用されていますし、水木しげるがゲゲゲの鬼太郎でも登場させています。

『スティッチ!』の第3話「森の最強妖怪キジムナー」でも取り上げられました。描かれる姿は全て違いますが、沖縄旅行では、それらしき何かに遭遇できるもしれませんね。

今回は日本各地で見られる妖怪について紹介しました。どれだけ実在が否定されても、妖怪のような存在を想像して思わず怖くなってしまう人間の気持ちは、いまも残っているはず。

不思議な存在を求めて、全国に旅をしても楽しいかもしれません。

  • 参考
  • 常光徹監修『みたい!しりたい!しらべたい!日本の妖怪大図鑑1 家の妖怪』ミネルヴァ書房
  • 常光徹監修『みたい!しりたい!しらべたい!日本の妖怪大図鑑2 山の妖怪』ミネルヴァ書房
  • 常光徹監修『みたい!しりたい!しらべたい!日本の妖怪大図鑑3 海の妖怪』ミネルヴァ書房
  • 近藤雅樹監修『こわい!不思議!江戸の怪談絵事典 お化け・妖怪から怪奇現象まで』PHP
  • 姫路城の歴史(姫路市)
  • 『日本昔話事典』弘文堂
  • 村上健司著『妖怪事典』(毎日新聞社)
  • 村上健司著『日本妖怪大事典』(角川書店)
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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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