一度歴史から消えた世界遺産?謎に包まれる「ボロブドゥール遺跡」を巡る旅
インドネシアのジャワ島。中心の街から離れたジャングルのなかにインドネシアが誇る世界遺産があります。それが「ボロブドゥール遺跡」です。
世界最高のパワースポットのひとつに数えられるボロブドゥール遺跡は、一生に一度は訪れてみたい場所。誰が何のために建立したのかもわからない、神秘的な遺跡に出かけてみませんか。
目次
ボロブドゥール遺跡とは?

インドネシアのうるわしく優美な世界遺産「ボロブドゥール寺院遺跡群」。1991年に世界遺産に登録された仏教寺院は、カンボジアのアンコールワットに勝るとも劣らない歴史をたたえる建築物です。
ボロブドゥール遺跡の建築については謎に包まれています。おそらく8.9世紀、日本が平安時代だったころにボロブドゥール遺跡のある平地に栄えたシャイレーンドラ王朝の遺産だとされています。
平安時代とは!日本にもこの時代の寺院が残されていますが、インドネシアもこんな建築物が作れるほどに栄えていたことがわかります。
ボロブドゥール遺跡は一度歴史から消える
シャイレーンドラ王朝時代に造られたボロブドゥール遺跡は、人々の大切な信仰の場となっていたに違いありません。しかし、この見目麗しい遺跡が一度は私たちの目の前から消え去ってしまいます。実は、ボロブドゥール遺跡は長らく土の中に埋まっていたのです!
どうしてそんなことになったのか?と疑問が浮かびますよね。理由には火山の噴火によるという説と、他教徒から破壊されることを恐れて人々が埋めたという説があります。
どちらにしても長年土に埋もれ、ジャングルの奥地で忘れ去られていた神秘的なボロブドゥール遺跡を発見したのは、イギリス人の行政官であったトーマス・ラッフルズ。再び姿を現わしたときにはすっかり荒廃し、崩れかけていたといいます。発見された後は12年もかけて修復を続け、現在の姿になったというドラマティックな一面も。
ボロブドゥール遺跡はどこにある?

再び姿を現わしたボロブドゥール遺跡は、インドネシア・ジャワ島の真ん中辺りに位置しています。拠点となるのはジョグジャカルタという街。2020年時点で約376万人の人口を抱え、ボロブドゥール遺跡以外にも、世界遺産のプランバナン寺院などがある観光資源のとても豊かな街です。
インドネシア入国!ボロブドゥール遺跡に行くには?

インドネシアに入国したら、ジョグジャカルタを目指します。ジョグジャカルタへは空の便もありますし、電車やバスを使ってもよいでしょう。個人的には飛行機を使うルートをおすすめします。周囲の国からもたくさんの便が就航しているので、ほかの国と合わせて周遊するのもおすすめです。
ジョグジャカルタへと到着したら、タクシーやバスを使って遺跡へと向かいます。インドネシア国内は物価が安く、タクシーも安いのでおすすめ。タクシー代金は乗車する前に料金を交渉する、いかにも東南アジアらしいスタイルです。おおよそ3,000円程度が目安。これ以上高い金額をいわれたら、そのタクシーには乗らないのが正解です。
ジョグジャカルタ空港からボロブドゥール遺跡へと直接繋がるバスのほか、市内の「ギワンガンバスターミナル」からバスが多数運行していますよ。
ジョグジャカルタ市内からボロブドゥール遺跡までの所要時間はバスで1時間半程度。もちろん日帰りも可能です。しかしジョグジャカルタ市内は交通渋滞がひどく、さらに時間がかかることもあるので時間には余裕を持ちましょう。
ツアーを使う?それとも個人旅行でも大丈夫?

ジョグジャカルタ市内からボロブドゥール遺跡への移動の難易度は高くありません。バスも十分な本数が出ていますし、乗り換えなどもなく個人旅行が初めてでも大丈夫です。
しかし、おすすめしたいのが現地ツアーを使うこと。ボロブドゥール遺跡の現地ツアーは日本語対応可のものも多く、広い遺跡内をくまなく案内してもらえます。価格も1万円ほどからあり、充実した時間が過ごせます。
なんとなく見て回るより、詳しく説明を受けながら見て回ると一層興味が持てるはず。ツアーには朝日に照らされるボロブドゥール遺跡を見学できるものや、インドネシアの首都ジャカルタから日帰りのものもあります。
観光できる時間帯は?

ボロブドゥール遺跡の見学は6:00~18:00となっています。最終入場が17時で、18時には門が閉められるので注意しましょう。ボロブドゥール遺跡は密林の中にあるものの、昼間は日差しが強く見学しにくいので注意です。
聖なる土地で信仰の場ではありますが、帽子や日傘などの使用制限はされていないので持っていきましょう。午前中の早い時間帯に訪れることをおすすめします。
ボロブドゥール遺跡の入場券

ボロブドゥール遺跡への入場はチケットの購入が必要。当日にチケットカウンターで購入しましょう。このチケットカウンターですが、地元の人用と外国人用に分かれているので注意しましょう。
外国人用のチケットは25ドルと少々お高め。地元の人々は7ドルほどで入場できるのですが、この辺りは観光させてもらっていると思えば仕方がありません。
チケットには種類があり、プランバナン遺跡とのコンビネーションチケットがお得です。2日間有効なのでジョグジャカルタの名所を周るつもりならこちらを購入しましょう。
いよいよ入場しよう

チケットの購入を済ませたらいよいよ入場です。中はとても広くお手洗いもないので、チケットオフィスで済ませておきましょう。金属探知のゲートをくぐって中へと進んでいきます。ちなみに、入場ゲートも地元の人用と外国人用に分かれています。
遺跡までの道のりはきちんと整備されていますが、緑豊かな森の中。虫除けスプレーを日本から持っていくと良いでしょう。
ボロブドゥール遺跡は超巨大なピラミッド型

入場してルートを進んでいくと、密林の中から徐々に姿を現わすのがボロブドゥール遺跡。開けた場所に出てその全貌を目にすると、最初にまずその大きさに驚くことでしょう。ボロブドゥール遺跡は高さ33.5m、一辺が115mの巨大なピラミッド型。その大きさは写真に収まらないほどです。
9層のピラミッドになっていますが、石を積み上げて造られたエジプトのピラミッドと異なり内部に入ることはできません。
実はこの場所にはもともと丘があったとされています。その丘は信仰の対象で、そこに上から石を積み上げて現在のような石の形になっているのだとか。ボロブドゥールという名も「丘の寺院」を意味します。
まずは壁のレリーフに注目

一目見てその大きさに圧倒されるボロブドゥール遺跡。近づいていみると壁一面に繊細な彫刻が施されていることに気がつきます。これは「レリーフ」という仏教の教えを絵にしたもの。経典の教えの場面が1,000以上も掘られています。
さまざまな場面が彫られている理由は目で見て覚えることができるから。じっくり見学して行けば、仏教の教えが理解できるというわけですね。
ガイドつきのツアーで訪れれば、主なレリーフについてもしっかり説明が受けられます。宗教施設はとくに理解が大切ですから、この点でもツアーがおすすめですね。
上から3段はストゥーパが!

頂上から3段はとくに特別な造り。辺りに広がるのは「ストゥーパ」と呼ばれる大きな石造りの仏塔。釣鐘型のストゥーパがなんと72基も並んでいます。ボロブドゥール遺跡で最も有名な光景といってもよいでしょう。

ストゥーパは石を組み合わせて精巧に造られており、中にはそれぞれ仏像が安置されています。がっちりと石で組み上げられているストゥーパですが、接着剤の類は一切使用されていないというので驚きです。
ストゥーパの形も微妙に異なっているので注目してください。最上階のストゥーパには四角の小窓が、それ以外は菱形の小窓が施されています。
触ると幸せになれるストゥーパ!?

ひし形の小窓を持つストゥーパには、触ると幸せになれるという言い伝えがあります。階段を登って右側にあるストゥーパなのですが、いつも人だかりができているのですぐに分かります。
女性はこのストゥーパのなかにあるクント・ビモの仏像の右足の小指を、男性は右手小指に触れると幸せになれるといわれているんですよ。ただし!届かなかったり、手が入らないなど失敗してしまった場合には、人生の失敗もやって来るといわれています。なんとも怖い言い伝えですよね。勇気のあるかたはぜひチャレンジしてみては?
中央の巨大ストゥーパの謎

頂上3段に渡って林立しているストゥーパ。ところどころ壊れており、中の仏像が見えやすところもあるのでぜひ探してみましょう。72ものストゥーパの中央には、とても巨大なストゥーパがあります。中心にそびえるこの大きなストゥーパにはさぞ大きな仏像が入っているのだろう!と思いませんか。実は巨大ストゥーパの中は空っぽなんです。
巨大ストゥーパの中が空なのには、
- シャイレーンドラ王朝の王様の遺骨が入っていた説
- ジャワ島独自の「空」の思想のため説
がありますが、理由ははっきりとわかっていません。この不思議ではっきりしない部分もボロブドゥール遺跡の魅力の一つですね。
頂上からの景色を楽しもう

ボロブドゥール遺跡を訪れると、美しいレリーフや見たことのないストゥーパについ夢中になってしまうのですが、頂上へと登ったなら少し後ろを振り返ってみてください。そこは緑に包まれたとても美しい森が広がっています!
世界には自然によって壊されていく遺跡がある一方、ボロブドゥール遺跡は1,000年も密林によって守られていたんだなと感じられるとても美しい光景です。お見逃しなく。
絶景と神秘の旅へと出かけよう
インドネシア・ジョグジャカルタにあるボロブドゥール遺跡。世界三大遺跡に数えられる立派で豪華な遺跡ですが、その多くはまだ謎に包まれています。
かつてこの地で栄えたシャイレーンドラ王朝とはどのようなものだったのか?ボロブドゥール遺跡を訪れれば、興味の尽きない世界史の謎に少し迫ることができるかも。眠りから覚めたシャイレーンドラ王朝の遺産、ボロブドゥール遺跡へと訪れてみませんか。
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