首都圏において、夏は暑く冬は寒いといわれている山梨県ですが、暑い夏場に人気の観光スポットとして、富士山周辺に存在する「風穴」や「氷穴」と呼ばれる天然洞窟があることでも有名です。
富士山周辺には非常に沢山の風穴・氷穴が存在していますが、なかでも有名なのが、「富岳風穴」と「鳴沢氷穴」です。このふたつの洞窟は双方共に観光用に整備されており、1929年に国の天然記念物に指定されています。
今回はこのふたつの、子ども心くすぐる風穴・氷穴を探検しながらご紹介します。
子どもも大人も観光しやすい「富岳風穴」
富岳風穴と鳴沢氷穴はともに、年間通して洞内の気温が0度から3度程度と低く、冷蔵庫や冷凍庫の無い時代には献上用などの氷の保管庫としても利用されていたそうです。
洞内の気温がこのように低く保たれるのは、富士山の雪解け水の伏流水で冷やされているためといわれています。
つまり、洞窟の壁や床の向こう側に雪解け水が流れており、それによって、洞窟の壁や床が冷やされ、熱交換により、洞内の空気も冷やされるというシステムなのです。
冷たい物に空気を当てて冷やすという原理としては、現代の冷蔵庫やエアコンと同じですね。
冷却システムとしては同じような構造の富岳風穴と鳴沢氷穴ですが、その作られ方には違いがあるそうです。
まず富岳風穴は、富士山の噴火によって流れ出た溶岩流の外側、つまり洞窟の天井側が先に固まり、内側はそのまま流れ続けた際に固まった天井側と、下側を流れる溶岩との間に隙間ができて固まったことにより形成されたといわれています。
緩やかに流れる溶岩が固まってできた洞窟であるため、比較的勾配が少ない横穴型に形成されており、お年寄りや小さな子どもでも歩きやすい構造です。
こうした勾配の少ないスペースが多いためか、大正初期から昭和30年ごろまでは、繭玉の保管施設として、また昭和30年頃ごろから昭和40年ごろには、ヒノキやナラ、マツなどの種子の保管施設として利用されていたそうです。
内部では、当時の繭玉や種子の保管状態を再現した様子を見ることが可能です。
内部には氷柱のほか、さまざまな状態の溶岩の壁面や、貴重な珪酸華の群生地などを見ることができます。
珪酸華とは、いわゆる「ヒカリゴケ」です。ヒカリゴケという名前ですが自ら光を発するわけでは無く、光を反射して光って見えます。洞内のヒカリゴケは周囲に銀色の反射光が見られます。
- 富岳風穴
- 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1
- 0555-85-2300
- 入洞料金:大人350円、小人(小学生)200円
- 公式サイト
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