都内にある古き良き日本。200年前の古民家「大沢の里」でタイムトラベル

日本らしさを感じる、懐かしさ

冒頭で「外国人観光客に人気だ」と説明しましたが、古民家は日本人である私たちが訪れても楽しめるスポットです。

私が訪れたときにも、たくさんの日本人観光客に出会いました。

木製機構では唯一と言っていいほど貴重な機械遺産です。image by:梅原慎治

三鷹の新車(しんぐるま)と呼ばれる水車はもともと、峰岸家が5代にわたって経営した水車を動力とした工場(水車経営農場)のもであり、製粉や精米などのために使われていました。その創業は1808年と、実に200年近く前までさかのぼるそうです。

当然、その時代のリアルな風景を知る人はいませんが、その場所に行くとなぜか、その風景や音に懐かしさを感じます。

これが日本人の血(DNA)に刻まれた記憶なのかな?と思える瞬間があるはずです。

水車は安全のため、ガラス張のケース内で回転しています。image by:梅原慎治
つき臼が並んでいます。image by:梅原慎治

河川の治水工事により川面からの距離が遠くなってしまったことから、水車小屋では現在、ポンプにより水を循環させて、水車が回る様子を再現しています。

また、普段は動力を伝達する機構は動かしていないのですが、イベントなどの際には、すべての動力を動かすことがあるそうです

つき臼の杵を動かす動力伝達機構。摺動部は1枚1枚のパネル(手前と奥の木の板)構造となっており、交換可能です。image by:梅原慎治

木製の動力伝達機構では、金属製のものに比べて摺動部分(こすれ合う部分)や、突き当てる部分の摩耗(すり減り)が大きいそう。

そうした箇所を部分的に交換できるような構造になっているのも、木製の動力伝達機構の見どころのひとつです。

木の柱にしか見えませんが、内部が空洞になっている昇降機(せりあがり)です。
組木構造の歯車は、無造作に置かれていても絵になります。image by:梅原慎治

個人的に一番驚いたのは、一見柱のように見える支柱が、木製のバケットコンベア(“せりあがり”というそうです)の筒であることでした。

その機構がいつの時代に出来たのかはわかりませんが、現代でも使われているような機構が木で再現されているということに、古さの奥の新鮮さを感じます。

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