ヒマラヤの山々に囲まれ、チベット仏教に守られた国「ブータン」。きっと多くの人が「世界一幸せな国」と呼ばれているのを聞いたことがあるのではないでしょうか。国民全体の幸福度が高い桃源郷、ブータンへの旅行がじわじわと人気を集めています。
リゾート地のような華やかさも、アジアのような混沌とした魅力もありませんが、穏やかで心がほっと解きほぐされるような魅力を持っている国。今回は初めてのブータン旅行で知っておきたい情報を詰め込んでご紹介しましょう。
目次
ブータンってどんな国?
ブータンは正式名称が「ブータン王国」という、王が収める立憲民主政国家です。2011年には日本との国交樹立25周年を記念して、そして2019年には、即位礼正殿の儀のため国王・国王妃がそろって来日しました。連日メディアで放送されていたので、なんとなく記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
優しげで知的な印象の国王・国王妃が収めるブータンは、国土の7割が手つかずの自然で満たされたとても美しい国です。
ブータンの国土は九州と同じくらいの大きさで、国土の西側に位置しているのが首都で最大の都市である「ティンプー」です。ブータン国民のおよそ7分の1に当たる約10万人がティンプーで生活を営んでおり、旅の入口になるのもこのティンプーなのです。
ブータンはどこにある?
ブータンは北を中国、南をインドと国境を接する海を持たない内陸国です。ヒマラヤ山脈に囲まれており、7,000mの山々が国土を占めています。首都ティンプーの街中でも、遠くに大きな山がそびえているのが見えますよ。
ブータンではどの地方でもトレッキングを楽しむことができ、自然を満喫するのはブータン観光の大きな魅力となっています。自然と合わせて、ブータンの素朴な雰囲気や寺院などを観光することもできますよ。
暖かな雰囲気に包まれたブータンに派手な観光地はありませんが、日本とは全く違う宗教が根付いた暮らしぶりや、色あざやかな民族衣装の「ゴ」を身に着けた人々が多く、街中を歩くだけで楽しめるのがブータン旅行です。
日本からブータンへ行くには?
2026年現在、日本とブータンを繋ぐ直行便はありません。ブータンへの空の入り口である「パロ空港」へは、第三国での乗り継ぎが必要です。主な乗り継ぎ先はタイのバンコクですね。バンコクで乗り換えてパロ空港へと入る便が、最も便利です。
パロ空港から首都のティンプーまでは車で1時間ほどかかりますが、ブータン旅行の特殊な事情のため移動の心配は全くいりません。続いては、他国とは違うブータン旅行の特徴をご紹介しましょう。
個人旅行だとブータンには入国できない?
実はブータンという国の旅行には、他国と大きく異なる点があります。ブータンが外国人旅行者を受け入れ始めたのは1970年代になってから。このころから、ブータン旅行はツアーを組まなければいけないと定められています。
観光客は旅行会社を通して宿泊するホテルやガイド料金、国内の移動費、食事代、税金などをすべて支払った状態でなければブータンへの入国はできません。
ブータンを旅行するには「公定料金(パッケージ料金)」を支払わなくてはなりませんが、従来の「Minimum Daily Package Rate(MDPR)」は2022年9月に廃止され、現在は、1泊100米ドル〜の環境・観光税を支払う制度「Sustainable Development Fee(SDF: 持続可能な開発費)」が定められています。
公定料金は含まれるもの、含まれないものが細かく規定されています。3つ星クラスのホテルが保証された宿泊費、1日3食の食事代、移動費や英語通訳のガイド費(日本語は追加料金あり)など、実質的な高コスト化ではありますが、高品質なサービスが担保されているメリットもあるでしょう。
ブータンでのお金問題は少し複雑?
ブータンの通貨は「ニュルタム」です。初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。ニュルタムの補助通貨は「チェトラム」。こちらも耳慣れない通貨ですね。
ブータンの通貨を日本国内で手に入れることはできませんので、ブータンで行います。ブータンのニュルタムには歴代国王の写真が使われているんですよ。国民にとって、国王がどれだけ身近で敬愛するべき存在なのかが感じられますよね。
両替はどうずればいい?
海外旅行、それもブータンのような一般的でない旅行先へと出かけるときは、現地で現金の調達ができるのかどうかが心配になりますよね。あらかじめ準備をしておかないと、旅行の資金が足りない!なんてことにもなりかねません。
ブータンの通貨ニュルタムは、ブータン国内であれば日本円から直接両替が可能です。日本円をそのまま持っていくのも良いですが、便利なのは米ドルとインド・ルピー。
ニュルタムはインド・ルピーと固定相場となっており、1ルピーが1ニュルタムで取引されています。インド・ルピーなら日本での両替もできますし、万が一現金が足りなくなってもインド・ルピーで支払いができる場所が多いのです。
地方都市などに行くと日本円の両替が難しいこともあるので、現金の半分は日本円、半分はインド・ルピーで持っておくことをおすすめします。
ブータンはクレジットカードが使える国?
ブータンではクレジットカードは使えるのでしょうか?「公定料金」があるブータンですが、お土産やレストランでの飲み物代やアルコール代金は含まれないのでその場で支払う必要があります。
ブータン国内はクレジットカードはあまり普及しておらず、現金支払いがメイン。観光客向けのレストランやお土産屋さんでもカードが使えるのはごく一部ですので、必ず現金を用意しておきましょう。
ブータンはATMでお金を引き出せる?
海外旅行の際には、クレジットカードのキャッシングで現金を引き出しているという方も多いでしょう。現金社会のブータンではとても強い味方になってくれそうなカードのキャッシング。ですがATMは日本と同じように使えるのでしょうか?
ブータンでも銀行のATMで現金を引き出すことは可能!安心しますよね。しかし、正常に作動しない場合や田舎の方では銀行がすぐに見つけられない場合もあるので注意です。首都ティンプーであれば問題なく、ATMを利用できますよ。
ブータンはチップが必要?
ブータンはチップが必要な場所、必要でない場所がはっきりと分けられています。先程お話したようにブータン旅行は基本的にガイドがつきっきり。ガイドやドライバーへのチップは必要ですので、最終日にまとめて渡しましょう。それぞれ一日10米ドルほどの金額でOKです。
レストランやホテルでは基本的にチップを支払う必要はありません。宿泊日数にあわせて封筒にチップをまとめて入れて、感謝の言葉とともに渡しましょう。
ブータンで信仰されている宗教は?
ブータン国民は大半がチベット仏教を信仰しています。ブータンの人々の生活にこのチベット仏教は深く根付いており、街のあちこちで宗教的なシンボルを見ることができます。
小さな5色の旗「ルンタ」や、日本ののぼりのような「タルシン」などは、いかにもブータンらしい宗教色の強い風景といえるでしょう。
ブータンの人々はとても信心深いので、旅行をする際に気をつけなければいけないことも。
チベット仏教を信仰する人々はなによりも殺生を嫌います。日本なら、蚊などの小さな虫が目の前を飛んでいたら思わずパチン!とやってしまいますが、ブータンでは良い印象は与えませんので注意しましょう。
寺院を訪れたときに注意すべきことは?
ブータン旅行のメインともいえる寺院巡り。信仰が生活に根付いているブータンでは寺院はとても神聖な場所で、服装や参拝方法にも注意が必要です。
まず露出の控えた服装でなければいけません。どれだけ暑い季節であっても、長袖長ズボンは必要です。帽子は脱いで参拝をし、大きな声で話すのは厳禁。仏像に触れることはもってのほかですし、寺院のなかを見て回るときは右回りを意識しましょう。
いろいろと厳しい条件のように思えますが、ガイドがしっかり教えてくれますので心配いりませんよ。
国王を尊敬するブータンの国民たち
ブータン国内に入ると、国王の写真があちこちに飾られていることに気がつくでしょう。
国民から国王への尊敬の念はとても厚く、ブータンの人々にとって宗教とともにとても大切な心の支えとなっています。尊敬する人がおさめる国に住んでいる、ということもブータン国民の幸せに影響しているのかもしれませんね。
ブータンの授業は英語!?
ブータンの公用語は「ゾンカ語」です。ブータン国内どこを訪れてもゾンカ語は通じますが、地方や民族によって話されている言葉が異なります。そこで、ブータンのこのゾンカ語と並んでほぼ全国で通じるのが、実は「英語」なんです。
というのも現在、ブータンの学校の授業はほぼ英語で行われています。教師不足や、ゾンカ語の語彙不足を補うために英語での授業が行われるようになり、若年層はとっても上手に英語を話すのです。そのため、ある程度の英語を話すかたなら旅行中に言葉が通じなくて困った!ということはないでしょう。
四季のあるブータン。気になる気候は?
ブータンの気候は地方によって大きく異なります。標高が高い場所と低い場所の差が大きく、気温の差も大きくなるのがブータンの特徴。
寒いイメージがありますが、きちんと四季もあるんですよ。観光で訪れることが多い場所は熱帯モンスーン気候のエリア。年間を通しての気候はおおよそ日本と同じ流れとなっています。
3月~5月の春は、昼間に20度前後まで気温が上がりますが、夜になると10度前後と一気に冷え込みます。昼と夜の気温差があるので、厚めの羽織ものを持っていくようにしましょう。
6月~9月は夏に当たります。雨季ではありますが、一日中雨が降ることはありません。最高気温は25度程度で、こちらも夜になると10度前後まで気温が下がります。
10月11月は短い秋の季節。秋といえども最低気温は5度くらいまで下がるので、スウェットやダウンジャケット、マフラーや手袋などが必要です。
12月~2月が終わるまでで長い冬がやってきます。昼間は15度くらいまで上がりますが、夜は氷点下になります。雨は少なく晴れの日は多いのですが、気温は高くなりません。乾燥しているので保湿クリームやリップクリームを忘れずに。
ブータンの食事は世界一辛い!?
ブータンの料理がどんなものなのか気になりますよね。お米が主食のブータンの料理は日本人の口にもよく合います。優しい雰囲気のブータンですが、実は料理においては「世界で一番辛い料理」ともいわれているんです。それもそのはず。ブータンの人々はなんと唐辛子を野菜として食べるんです!
ブータンの国民食が「エマ・ダツィ」という唐辛子のチーズ煮です。とっても辛いこのおかずと一緒にお米をたっぷり食べるのがブータン流。ほかにもお肉と唐辛子を一緒に煮た「パクシャパ」や、ネパールにもある餃子「モモ」などが食べられています。
辛いものが苦手なかたは、ガイドさんにいえば観光客用の辛くない料理を食べさせてくれますよ。リクエストがあればガイドさんにしっかりと伝えましょう。
初めてのブータンで行くべき観光地は?
初めてのブータン旅行。常にガイドさんが付き添ってくれるので、どこへ行くのも安心です。少し地方への遠出も可能なのが嬉しいですよね。
ブータン最大の観光地である「タクツァン僧院」は欠かせない見どころ。崖にへばりつくようにして建つ寺院へ向かって山道を登って行きます。
標高はなんと3,000m!しっかり登山かと思いますが、道は整備されているので歩きやすい靴と虫対策の長袖長ズボンであれば大丈夫です。行き帰りで4時間ほどかかりますが、頂上の絶景と美しい寺院は必見です。
首都ティンプーでは「クエンセルポダン」で大きな黄金の仏像を見学したり、政治の中心である「タシチョ・ゾン」へ民族衣装を着て訪れたり、市民の憩いの場である「メモリアル・チョルテン」を見て回ったりしましょう。
ブータンで買うべきお土産はこれ!
ブータンを訪れた際はぜひ雑貨屋さんをのぞいてみましょう。ブータン独特の伝統工芸品が多く並んでいます。
とくにブータンは織物の技術がとても高く、カラフルで美しい織物を使った小物が多く見られます。小物入れやバッグなどはお土産にもぴったりです。食品では、スパイスやはちみつなどがとても質がよくおすすめです。
今回は神秘の国「ブータン」をご紹介しました。高い山に囲まれ、信心深い人々が暮らすとても素敵な国。公定料金があり、ガイドさんがつきっきりで回ってくれることから一人旅にもぴったりです。のどかな風景が残る幸せな国へぜひ出かけてみませんか。
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