「人生どう生きていけばいいのかわからない…そんなあなたの気持ち、大仏みたいなデッカイ心で受けとめます」こんなキャッチコピーが似合いそうな働くことに悩む若者向けの取り組みが、11月から奈良県で始まりました。その名も「働きたい!ワカモノ人生相談所 in 奈良」。
「働く」前に、社会との接点を作る
「働きたい!ワカモノ人生相談所 in 奈良」、これは単なる支援施設じゃありません。
働きたいと考える若者に向けた多くの支援は、キャリアカウンセラーが個室で話を聞いて、その人に合った仕事を紹介してくれるのが当たり前。今回奈良県がNPO法人スマイルスタイルに委託し運営する人生相談所でも、通常の支援活動と同様にキャリアカウンセラーによる面談を行うのですが、その後の支援がとてもユニークなんです。
「そもそも引きこもりだったり、社会との接点が少ないまま過ごしてきた若い方たちにとって、仕事をする・働くということをリアルに考えるのは難しいこと」と、NPO法人スマイルスタイルの古市さんは話します。
例えば、絵が好きだからデザイナーになりたいと言っても、実際にデザイナーがどんなライフスタイルで働いているのかを知らなければ、実際に職についても理想との乖離に悩んだり、思い描いていた仕事ができないと感じてすぐにやめてしまうこともあるはず。
人生相談所では、働き出す前段階として社会との接点を段階を経てもらうことで、今の自分に必要なスキルや考え方を身につけてもらうための「人」と「体験」を提供しています。
その気持ち、人生の大先輩に聞いてみよう
「人生相談所」という名前が付いている通り、ここには人生相談員と呼ばれる方々が生きること・働くことについて一緒に考えてくれます。相談員のジャンルはさまざまで、その道一筋で働いてきた職人や専門家、企業の方々だけでなく、奈良県内のおっちゃんやおばちゃんまで、様々な知識・技術・人生経験を持つ方々が相談に乗ってくれます。
実は相談員の多くがボランティアなんだそうです。普段は相談員でない仕事をしているからこそ、相談者との会話も仕事の付き合いではなく、まるで友達のような感覚で話ができます。相談員との他愛もない話の中に、これからの人生を歩むためのヒントを見出して欲しいという思いがあります。
また、相談員を通して実際に仕事の様子を見たりすることで、相談者自身に働くことについて考えてもらい、その人にマッチした働き方を一緒に見つけていくこともできます。
「相談員の中には人生相談所のFacebookを見て、『自分も相談員をしたい』と名乗り出てくれる方もいます。その方の中には、働くことに悩んでいる若者が身近にいて、その子のために何かしてあげたいという思いを持ってきてくれる方もいるんです」。
「若者たちの課題を、行政やカウンセラーだけに留めずに広くとらえることで、より良い支援になるはず」。
人生相談所では、カウンセリングや相談だけでなく、社会との接点を広く持ってもらうためのイベントやボランティア活動も開いています。このボランティア活動には相談員と相談者だけでなく、家族やその他支援活動に関わりのない人でも参加できます。
「相談者にできるだけたくさんの体験をしてもらうためにも、出会いの間口を広げてあげることが大切です」。
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