スマートフォンの普及やAIの広まりにより、どんどん加速する社会のデジタル化。大人だけでなく小さい子どもですら、スマートフォンを使いこなす姿がよく見られますよね。タブレットなどを授業で取り入れる学校も少ないでしょう。
このように、デジタルが普及している時代ですが、なんとフィンランドでは、「小中学校でのスマートフォン使用禁止」の法律が2025年8月より施行されることが発表されています。
“教育先進国”として知られる国の新たな動きに関心が高まっている中、メルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』の著者である吉田正幸さんが、詳しく解説してくれています。
スマートフォンが子どもの学びと心を奪う?フィンランドの新しい法律

デジタル教育の最前線を走るフィンランドで、驚きのニュースが飛び込んできました。2025年8月から、小中学校でのスマートフォンの使用を原則禁止する法律が施行されます。
授業中はもちろん、休み時間もスマホから離れ、子どもたちが対面での交流や集中した学びを取り戻すことを目指すこの法律。しかし、思い切ったものです。
なぜ“教育先進国”がこんな大胆な一歩を踏み出したのか?
背景には、スマホの過剰使用が引き起こす「集中力の低下」や「メンタルヘルスへの危機」があります。世界が注目するこの動き、子どもの未来をどう変えるのか、深掘りしてみたいと思います。
「小中学校の生徒によるスマートフォンの使用を制限する法律がフィンランドで成立」という『GIGAZINE(ギガジン)』で知ったこちらの件。
2025年4月30日、フィンランド議会は小中学校の生徒によるスマートフォンおよびその他のモバイル端末の使用を制限する法律を可決したといいます。
フィンランドは“教育先進国”として知られており、その教育システムは世界中から注目を集めてきましたが、今回の法改正はデジタル時代における新たな挑戦への対応として注目されています。
どんな法律なのかまとめてみました。
1. 法律の概要と目的

フィンランドの新法は、小学校(6~12歳)および中学校(12~15歳)の生徒に対し、学校内でのスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の使用を大幅に制限するもの。高校生は不適応とされています。
具体的には、授業中および休み時間を含む学校滞在時間中、原則としてこれらのデバイスの使用が禁止。ただし、特別な許可を得た場合や、教育目的で教師の指導のもと使用する場合に限り、例外が認められるそうです。
目的は、スマートフォンが生徒の学習環境や精神的・心理的健康に及ぼす悪影響を軽減すること。
フィンランド当局は、スマートフォンの過度な使用が集中力の低下、ソーシャルメディアを通じたストレスやいじめの増加、そして学業成績への悪影響を引き起こしていると指摘しています。
『Yle』のニュースによると、フィンランド教育省は「生徒がデジタル機器から離れ、対面での交流や学習に集中する環境を整えることが重要」と強調していました。
また、フィンランドはデジタル教育の導入において先駆者であり、2010年代から学校でのタブレットやパソコン活用を推進してきた経緯があります。
しかし、デジタル機器の普及に伴い、過剰使用による弊害が顕在化し、今回の規制に至りました。この背景には、デジタルとアナログのバランスを取る必要性が認識されたということです。
2. フィンランドにおけるスマートフォン使用の現状
フィンランドの子どもたちのスマートフォン利用状況は、他の先進国と同様に高いです。
2016年の調査によると、フィンランドの小中学生のスマートフォン所有率は急速に上昇しており、特に10代前半の生徒のほぼ全員が個人用スマートフォンを持っていると報告されています。
また、ソーシャルメディアやゲームの利用時間が増加し、1日あたり数時間をスマートフォンに費やす生徒も少なくありません。もちろん、日本の現状も変わりません。
学校内でのスマートフォン使用は、授業の妨げや生徒間のコミュニケーションの質の低下を引き起こす要因として問題視されてきました。
例えば、休み時間にスマートフォンに没頭することで、対面での友人との交流が減少し、社会的スキルの発達に影響を与える懸念が指摘されています。
まさに昭和世代の僕からしてみれば、血の通った感情の訓練を取り上げてしまうようなものです。
さらに、ソーシャルメディアを通じたオンラインいじめも深刻化しており、学校側が対応に追われるケースが増加しているといいます。顔が見えない世界は怖いですね…。
フィンランドの教育関係者は、こうした状況を踏まえ、スマートフォンの使用を制限することで、生徒が学校での時間をより有意義に過ごせる環境を整備する必要があると判断しました。
この動きは、フィンランドがこれまで推進してきた「生徒中心の教育」という理念とも一致します。生徒の幸福感と学びの質を優先する姿勢が、今回の法改正の根底にあるということです。