保護者反対の懸念も?教育先進国フィンランドで始まる「小中学校スマホ禁止」の新法律
3. 法律の具体的な内容と施行の詳細

新法の具体的な内容は以下の通りです。
- ・適用対象:小学校(6~12歳)および中学校(12~15歳)の全生徒
- ・規制範囲:学校内でのスマートフォン、タブレット、その他の個人用モバイル端末の使用を原則禁止。授業中だけでなく、休み時間や昼食時間も含まれる
- ・例外規定:教育目的での使用(例:授業でのデジタル教材の利用)や、特別な理由(例:健康上の必要性)がある場合に限り、教師や学校の許可のもと使用可能
- ・施行時期:2025年8月、新学期開始時より適用
- ・違反への対応:違反した場合、端末の一時没収や保護者への連絡などの措置が取られる可能性があるが、詳細は各学校に委ねられている
施行に向けて、学校側は保護者や生徒への説明会を開催し、ルールの周知徹底を図る予定なのだそう。
また、教師向けのガイドラインも作成され、例外的な使用許可の判断基準や、違反時の対応方法が明確化されるというのだから本格的です。うらやましい。
この法律により、以下のような効果が期待されているといいます。
- ・学習環境の改善:スマートフォンの使用が制限されることで、生徒の授業への集中力が高まり、学業成績の向上が期待される
- ・精神的健康の向上:ソーシャルメディアの過剰使用によるストレスや不安の軽減が期待される。特に、オンラインいじめのリスクが低下し、生徒のメンタルヘルスが改善する可能性がある
- ・社会的スキルの強化:休み時間にスマートフォンを使わず、対面での交流が増えることで、コミュニケーション能力や協調性が育まれる
- ・デジタルとの健全な関係の構築:スマートフォンの使用を制限することで、生徒がデジタル機器との適切な距離感を学び、自己管理能力を養う機会となる
フィンランド教育省は、これらの効果が長期的に生徒の幸福感と学力向上に寄与すると期待しています。ここまでくるには相当の議論もあったと思われます。
それでは、どんな課題と懸念があるのでしょうか?指摘されている4つの項目をご紹介します。
保護者や生徒の反発

スマートフォンは緊急時の連絡手段として利用されることが多く、全面禁止に対する保護者の懸念が存在します。特に、登下校時の安全確保を理由に、スマートフォンの持ち込みを希望する声が強いようです。
緊急手段に関しては、確かにスマホの役目は大きいといえます。常に携帯はしていても使わないという新たな習慣の確保が課題ですね。
教育現場の負担

ルールの徹底や違反対応は教師や学校に委ねられており、現場の負担が増加する可能性があります。特に、例外許可の判断や没収時のトラブルが懸念されます。
負担が増えても、決断した教育人の姿勢はすばらしい。昨今の教育者としての姿勢は全世界で見直す時期に入ったのでしょう。その為に財源を財務省には確保してもらいたいと切に願います。
デジタル教育とのバランス

フィンランドはデジタル教材の活用を進めてきましたが、スマートフォン禁止により、一部の教育活動に支障が出る可能性があります。学校はパソコンやタブレットなどの代替手段を確保する必要も。
ここは問題。ただ、ノートや鉛筆での手書きは身体にも脳にも有効なことはわかってきています。原点回帰といったところではないでしょうか。
公平性の問題

すべての生徒が学校外でデジタル機器にアクセスできる環境にあるわけではありません。学校での使用制限が、デジタル格差を助長する懸念も。
これらの課題に対応するため、フィンランド政府は学校や地域コミュニティと連携し、保護者向けの啓発活動や教師の研修を強化する方針だとのことです。