保護者反対の懸念も?教育先進国フィンランドで始まる「小中学校スマホ禁止」の新法律

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2025/05/21

4. 世界的な学校でのスマートフォン規制の潮流

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フィンランドの今回の法改正は、世界的な学校でのスマートフォン規制の潮流と一致するものです。類似の取り組みを行っている国々の事例は下記の通り。

  • フランス(2018年施行):小中学校でのスマートフォン使用を全面禁止。学校内での持ち込み自体が制限され、違反者は端末没収の対象となる。フランス政府は、生徒の集中力向上と対面コミュニケーションの促進を目的としている
  • スペイン カタルーニャ州(2024年9月施行):初等教育での個人端末の持ち込みを禁止し、中等教育では教育目的に限った使用を許可。健康上の理由などでの例外も認められている
  • ブラジル(2025年2月施行):学校でのスマートフォン使用を禁止する法律が成立。子どもの精神的、心理的健康の保護を目的とし、休み時間も含めた全面禁止が特徴
  • スウェーデン:2010年代にデジタル端末の導入を進めたが、近年はスマートフォン使用の制限を強化。紙の教科書への回帰も進んでいる

ユネスコも2023年に「学校でのスマートフォン禁止」を推奨する報告書を発表し、学習環境の改善と生徒の健康保護の観点から規制の必要性を訴えています。

これらの動きは、デジタル技術の利点を認めつつも、過剰使用による弊害を抑制する方向性を示しているということです。

5. フィンランドの教育哲学と今後の展望

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フィンランドの教育システムは、「平等性」「生徒中心」「幸福感の重視」を柱としているといいます。今回のスマートフォン規制もこの哲学に基づいているそうです。

フィンランドは、「PISA(国際学力調査)」で一貫して高い成績を収めてきましたが、近年はデジタル機器の普及に伴う学力低下やメンタルヘルスの悪化が課題となっていました。

今回の法改正は、このような課題に対する積極的な対応策といえるでしょう。規制の成功は、学校、保護者、生徒の協力と、適切な運用にかかっています。

フィンランドがこの挑戦を通じて、どのように教育の質と生徒の幸福感を両立させるのか、その動向は世界の教育関係者にとって注目すべき事例となるでしょう。

昭和世代として、フィンランドの小中学校スマホ禁止法はズバリ賛成。僕らの時代、携帯などなくても友達と遊び、傷つけ、傷つけられてリアルに学びました。そして先生は怖い存在で、先生の話をちゃんと聞いて育ちました(一応)。

それがいつの間にか、技術進化に伴って、心の在り方が変化してきました。


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スマホで気が散り、SNSで傷つけ合う今の子どもたち。外見と人気がすべての勲章となり、優劣が加速する。そんなデジタルの闇深い世界とともに本来の自由と活気がなくなりました。

本来の自由などないのかもしれませんが、反抗する気力は奪われなかった昭和世代。その過去から俯瞰してみれば気の毒だといつも感じていました。

人間関係も、恋愛事情も顔を上げて面と向かって、リアルに築くものだと思います。デジタルは便利ですが、心を置き去りにした使いすぎは毒にしかなりません。フィンランドの決断は、子どもに「今」を生きる大切さを教える第一歩になってほしい。

ただ、親や教師のフォローありきでしょう。フォローではありません。言いにくいことも、伝えづらいことも、記録に残らないことも、目で見て、触覚を総動員して、声に出して表情で臨む勇気が必要。その勇気が大いに試される、フィンランドを見守りたいと思います。

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整体院を独立で開業し、今までに15万2000人以上を担当した施術家。さらには独立専門整体スクールも開校し、650名以上の整体師を輩出している。現在も施術及び施術指導継続しているが、やりたいことにエネルギーを集中させる人生へのシフト中。

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