観光庁の統計調査によれば、訪日外国人の数は2011年から増え続けており、2019年には、3,188万人にのぼるとされています。こうした統計からすれば、一過性の増減はあるにしても訪日外国人の数というのは増えて行く傾向にあると推察できます。
そして現在、訪日外国人観光客からの需要が高まってきているのが、日本国内でのツーリングです。決められた場所ではなく自分の行きたいところへ行く。自分の行きたい場所をピックアップし、それに応じてツーリングのプライベートツアーを組んでもらう。
これが訪日外国人観光客のなかでも特に富裕層の方々にとって、日本観光における贅沢プランのひとつとされているのだとか。実際、観光庁がまとめている「訪日外国人の消費傾向」のなかでも「レンタルバイク」という選択肢が「その他交通消費」の分類に含まれるようになってきているのです。
そこで今回は、そんなツーリングをより良い「思い出」として残すことでいま人気を集める都内の撮影スタジオ「motogenic!(モトジェニック!)」代表であるカメラマン・尾越哲郎(おごし・てつろう)さんに、リアルな現状といますぐ使える撮影テクニックを聞いてきました。
またあわせてオススメのツーリングエリアもご紹介するのでお出かけ先の候補として、ぜひ参考にしてみてくださいね。
写真には、「思い出作り」と「記録」の違いがある
訪日外国人観光客からもコト消費のひとつとして注目を集めるツーリング。今後より重要視されてくるのは、ただのツーリングを「どのようにして素晴らしい思い出にし、残すのか?」という点ではないでしょうか。
現代の思い出を残すツールとして広く使われているのが、Instagramをはじめとした写真投稿型SNSですね。私自身もツーリングしながら写真を撮っているのでわかるのですが、景色やバイクをただ写真に残すことができても、ツーリングでは自分自身を写真に収めることがなかなかできません。
そこでいま需要が高まってきているのが、プロカメラマンによるツーリング風景の撮影なんだとか。ブレた写真もまた味わいのひとつですが、プロが空間を美しく切り取った写真には、物語を想像させる力があります。
ただの記録から、思い出に。より素敵な思い出に残したい特別な日のツーリングだからこそ、プロの手でしっかり切り取っておきたいという気持ちもわかりますね。
実際にツーリングに同行し撮影も行うという尾越さん。今回お話を伺った直後にも訪日外国人の方からのオファーがあり、ドイツから来日する4人組が静岡県の伊豆半島へ向かうツーリングに同行することになったのだとか。
このツーリングが予定されているのは少し先の5月ですが、数カ月も先のオファーがいまの時期に入って来るということに、少し驚きました。訪日外国人の国内ツーリングのみならず、撮影オファーが増えているというのも実感できますね。
昨今の時勢もありなかなか今後の訪日旅行自体も読めない状況ではありますが、伊豆は“世界一の富士”と称される景色を見ることができるので、ぜひそういった景色を思い出に残してもらいたいものですね。