なぜ人気?訪日外国人が注目する国内「ツーリング」、その理由
写真で共感を生み、ツーリングやバイクをもっと広めたい
訪日外国人旅行者のみならず、もちろん日本人旅行者のツーリングにも同行し、屋内外で撮影を行ってくれる尾越さん。その撮影でこだわるのは、居間に飾ることができるバイク写真なんだとか。
「趣味の物というのは大抵そういった傾向がありますが、特にバイクは、バイクに対して家族の理解がある・ないによって風当たりの違いが大きいと思うんですよね。バイクに乗っていたご主人が亡くなられた後の遺品整理で、家族が真っ先に考えたのがご主人のバイク売却だった…なんて話も聞いたことがあります」
家族がバイクを愛して乗っていても、興味がなければ存在意義はない。それどころか強い拒絶感を持っていることもある。その現状に尾越さんは愕然としたそうです。
だからこそ、乗っている本人が感じているバイクの魅力やカッコ良さを写真を通して少しでも家族に共感してもらうことができれば、バイクへの理解を深め、拒絶されない環境や文化を創ることができるのではと尾越さんは考えたのだとか。
いつも家族が乗っているバイク。それが雑誌に載っているようにカッコよく魅力的な写真として普段から居間に飾られていたら、「おっ、意外とカッコ良いじゃん」と思ってもらえるかもしれない。魅力に共感してもらうきっかけとして「居間に飾ることができるバイクの写真」が必要だということですね。
今回見学させて頂いたmotogenic!のスタジオ撮影では、そうした写真1枚へのこだわりがヒシヒシと伝わってきました。ライティングの配置や発光強度、タイミングなどはもちろんですが、特筆すべきは「無駄に撮らない」ということ。
私のイメージのスタジオ撮影は、たくさん撮影したなかから数枚を選定するというもの。しかしmotogenic!ではたくさん撮るというより「どうすればもっと良くなるか?」の検討、いわば“頭のなかでのイメージ撮影”に最も時間を割いていたように感じたのです。
じっくり向き合って撮ると聞くと堅苦しいのではと思うかもしれませんが、穏やかな笑顔を見せる尾越さんの人柄もあり、スタジオ内は終始和やかな雰囲気。基本のカットをもとに「この向きも良いよね!」「こっちからはどうだろう?」と、みんなで作品づくりにのめり込む楽しさが見えました。
気持ちが盛り上がれば、撮影を依頼したオーナーさんもノリノリになってきます。当初は「イヤ…私はイィですよぉ…」と撮られることを遠慮していたのに、いつのまにかバイクにまたがり「コッチ?こう?これは?」という感じに、しっかりフレームに収まっているのです。
今回見学させてくれた依頼者は男性だったのですが、実はこのスタジオ撮影に夢中になるのは女性が多いんだとか。その理由は簡単、「綺麗に撮ってもらえる」から。
レンズを通して得られる作品というのは、目で見ていた光景とちょっと違うんですよね。だからこそ作品としての写真は単なる記録ではなく記念になり、素晴らしい思い出として残るものなのではないでしょうか。