なぜ人気?訪日外国人が注目する国内「ツーリング」、その理由
プロが教える、あすから使える撮影テクニック
尾越さんはスタジオ撮影だけでなく、ツーリングへの帯同撮影はもちろん、サーキットでの走行シーンの撮影も行っています。
外での撮影はスタジオ撮影とは異なり、予定通りの撮影環境を作り出すことが困難な場合が多いもの。だからこそ、その場で“頭のなかでのイメージ撮影”ができれば良い写真が撮れ、決定的瞬間を残せるのです。
戦前戦後を通じて日本を代表する写真家としても知られる木村伊兵衛氏が、昔こんなことをいっていたと聞きます。
「写真っていうのはねぇ。いい被写体が来たって思ってからカメラ向けたらもう遅いんですよ。その場の空気に自分が溶け込めば、2、3秒前に来るのがわかるんですよ。その2、3秒のあいだに絞りと、シャッタースピード、距離なんかを合わせておくんです。それで撮るんですよ」
この言葉が正に、尾越さんが現場で体現していたプロの撮影なのだなと私は感じました。
今回作品を見せてもらって思ったことですが、プロが撮影した作品は、やっぱり違います。言葉より先に、表情に驚きを引き出すのです。
尾越さんの作品にはバイク本体だけでなくそのバイクオーナー自身も登場します。その作品を見た人は実物と写真を見比べ、まず驚く。リアリティがありながら美しく、見慣れたものが新しく感じる。それがきっと、プロの写真なんですよね。
そんなプロの撮影の魅力を知ると、プロのような写真とまではいかなくても、いまよりもうちょっとカッコ良い写真が自分でも撮れるようになりたいと思うもの。そこで今回は特別に、あすのツーリングから即使えるテクニックをいくつか教えてもらいました。
1.バイクと人物を一緒に撮るときはバイクよりカメラ寄りに立たない。
バイクとカメラの間に人物が入ってしまうと、人物が大きくなってしまい、バイクの迫力や魅力が伝わらず、アンバランスに見えてしまうそう。
2.バイクの場合、前(後ろ)と横の割合を7:3ぐらいにする。
あえて正面からや真横から撮影するという場合もありますが、この比率で撮影することで、バランスとバイク全体の造形を1枚に収めることができるのだとか。
3.半逆光を意識する。
ちょっと上級のテクニックですが、外での撮影でも真後ろより斜め後ろからの光を意識することで、写真に立体感が出ますよ。
4.Googleストリートビューなどで景色の良い場所、撮影した場所のロケハンをしておく。
基本的なことですが、良い写真を撮るには良い景色の場所を把握しておくことが重要。初めて行くような場所では特に事前の下調べが必須です。