美味しくないのにナゼ食べる?他県民が驚いた、日本全国の不思議な習慣

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14歳の「少年の日」には城まで歩く/愛媛県

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続いては愛媛県の伝統、「少年の日」について。日本にはいろいろな日が定められていますが、みなさん「少年の日」をご存じでしょうか?

「少年の日」は国民の祝日ではなく、愛媛県が独自に定める県民運動の開催日。この日には愛媛県下で特別な行事が行われる場合も多く、翌日には地元の新聞や全国紙の地方支部が、その様子を報じます。

行事の代表例は「少年式」。愛媛県の14歳(中学2年生)の男女が、大人になるための自覚や立志、健康を目標に定め、場所によってはその志を人前で発表するような県民運動です。数十キロのウォーキングにチャレンジする学校もあります。

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愛媛県青少年育成協議会『愛媛の少年たち』を孫引きすると、1964(昭和39)年に東京で議論されていた「14歳立春式」に共感した愛媛県青少年育成協議会会長が、立春の日(太陽暦の2月4日ごろ)を「少年の日」と定め、県下の中学校に「少年式」の実施要項を発送したところから、その歴史がスタートするといいます。

当初は2校しか参加がなかったといいますが、その後に一気に増加。

校長の一存で実施の有無を決められるため、現在は「少年式」をやめる学校も目立つようですが、その名残のような行事を続けている学校もあると愛媛県民の知人も話します。

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<附属中でも平成15年まで少年式を行っていましたが、現在は式典は行っていません。しかし、少年式記念行事としてスタートしたスキー実習はその名残として、現在も続いています>(愛媛大学教育学部附属中学校の公式ホームページより引用)

その知人によれば、感動的な「少年式」を廃止にする学校の存在に同じ県民ながら「カルチャーショック」を受けるといいますが、県外の人間からすると、そのような独自の習慣がいまも根付いている点に、ややカルチャーショックを受けますよね。

また、愛媛県出身・TRiP EDiTORの編集Kによると「自分の中学では、学校から片道8kmくらい離れた松山城まで歩かされた。延々と歩いて城に登ってまた学校まで帰るので、往復16kmくらい歩く。それでも距離的には短いほうで、学校によっては30kmくらい歩かされると聞いたことがある」とも教えてくれました。青春時代にいろんな意味で思い出が残りそうな「少年の日」ですね。

お月見の代わりに川辺で「芋煮」をする/愛媛県

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続いては愛媛県の「芋煮」ならぬ「いもたき」について。先述した通り、編集Kによると、山形県でも宮城県でもない愛媛県にも「芋煮」があるのだとか。

「ジモトでは夏が終わった秋ごろになると、『いもたき』という行事があります。これはお月見でお団子を食べる代わりに芋煮を食べると祖母に聞いたのですが、河川敷にブルーシートを敷いて、みんなで集まって鍋を囲むようにしていもたきを食べます」とのこと。

愛媛県のいもたきとは、里芋とり肉を入れた鍋を屋外で炊いて、それをつまみに大勢で宴会することなのだとか。

「ただ、私が小さいころから行っていた河川敷で出される芋煮は正直、美味しくなくて…。あくまで個人的な意見ですよ。しかも母や祖母は『味が薄いけん、いかんわ』といって、翌年からは調味料を持参するようになってました。そうまでして行くのか!と地元民ながら驚いた記憶がありますが、地元民のコミュニケーションの場でもあるんですよね」と教えてくれました。

ちなみに神奈川県川崎市出身のライター・ミズサワさんに愛媛県のいもたきについて聞いてみると「ウソでしょ、ご当地グルメなのに東北の芋煮みたいに美味しくないの…?でもまぁ、川崎にはニュータンタンぐらいしか誇れるご当地グルメがないんですけどね」とコメント。他県民も驚きを隠せない様子です。

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そんないもたきの味付けは醤油ベース。みりんや酒を入れるため、「豚肉・みそ」の山形県の庄内地方というより、「牛肉・しょうゆ」の内陸地方に近いのかもしれません。ただし、違いはとり肉を入れるところ。

入れる具材や味付けによって地域性がでてきますが、河川敷で月を見ながら食べる鍋も、またその土地ならではの風情を感じれるのかもしれませんね。

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