今こそ年貢の納め時。茅葺古民家を「村民」が守るシェアビレッジ町村

村があるから村民がいるのではなく、村民がいるから村ができるーー思わずハッとさせられてしまったこの一言は、地図にはのらない秋田県のとある村の村長によるもの。これまでの「村」の概念を覆す発想で始動した、村と古民家の再生プロジェクト「 シェアビレッジ 町村」とは一体どういうものなのでしょうか?

帰る場所がないなら、みんなで作ればいいじゃない

シェアビレッジ町村のある秋田県五城目町の風景

東京での生活につかれた秋田県出身の現村長・武田昌大さんがシェアビレッジ町村を立ち上げたのは2015年4月。

「田舎でゆっくりしたい」「でもどこにいっていいかわからない」「そもそも帰る田舎がない」という問題に、「それなら自分の村を作ってしまおう!」と思い立ったのが始まりとのこと。

村長・武田昌大さん

さらに武田さんは、人口減少の影響もあり消滅の危機にある古民家に着目。古民家が失われつつあるのは、住む人と維持する費用がないからだと考えました。そして考えついたのが、「古民家を村に見立てて村民に維持費を払ってもらうことで、ひとつの大きな古民家を複数人で維持していく」というものでした。

こうして、村という古民家を複数の村民という出資者で保全するプロジェクトがたちあがり、クラウドファンディングを利用して「シェアビレッジ町村」が誕生しました。「シェアビレッジ町村」は古民家を保全するというだけでなく、これまで関わりのなかった複数人の村民でこの場所を守っていくことで、新しい発想とクリエイティブな環境が生まれます。

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