海と山両方の自然に恵まれ、都心から気軽に行ける温泉地として人気の静岡県・伊豆は、半島のいたるところに温泉が湧き出で、西と東、そして海側と山側でそれぞれ異なる景観が広がるので、気分に合わせた温泉地選びが楽しめます。
泉質は、主に塩化物泉、硫酸塩泉、単純温泉といった無色無臭のタイプが多く、なかにはしょっぱいお湯もありますが、全体的にさらりとしています。
強烈な硫黄臭漂う個性的な湯が好みという人にとっては若干物足りなさを感じるかもしれませんが、さらりとしたタイプの湯にはさらりとした湯のよさがあり、海や山の自然とともに堪能すれば、極楽この上ないことは言うまでもありません。それに、あまり知られていないだけで伊豆にもユニークな泉質の湯は色々とあるのです。
今回は、ティーンエイジャーのころから“伊豆ファン”として伊豆通いを続ける私の、“伊豆といえばの極上湯”をご紹介したいと思います。
※お出かけの際は三密に注意の上、新型コロナウィルスの国内情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
ポイントは、強アルカリ性+超軟水。伊豆の美人湯NO.1!
おそらく伊豆で極上湯といえば一番に名が上がるのが「観音温泉」ではないかと思います。ちょっとわかりづらい場所にありますが、施設もそこそこの規模で、“飲める温泉”としてちょくちょくメディアでも取り上げられる存在です。
そして、その「観音温泉」とほぼ同じ泉質を持つもうひとつの温泉が「昭吉の湯」。下田の奥座敷と呼ばれる蓮台寺温泉のさらに奥、下田と松崎を結ぶ15号線のはずれの奥下田の山の中にこのふたつの温泉はあります。
もともとは「観音温泉」が一軒だけポツンとあった場所で、あとから「昭吉の湯」がオープンしているため温泉郷としての名前はありませんが、今回はこの「観音温泉」と「昭吉の湯」を紹介します。
美肌を追求するステイを叶えてくれる「観音温泉」
温泉好きに有名な「観音温泉」は、Ph9.5 の強アルカリ性、そして超ヌルヌルの軟水が特徴の美肌の湯として知られています。
現在、敷地内には3本の源泉塔が立ち、温泉施設と宿泊棟のほか野菜の自家栽培を行う農園もあり、なかなか充実した温泉宿となっていますが、この温泉が掘り当てられたのは1963(昭和38)年のことで、伊豆の温泉としては新しい部類に入ります。
なんでも、あるとき創業者の夢枕に観音様が現れ、夢のお告げを信じて掘ってみたところ地下600mに湯を掘り当て、しかもこの工事中に土の中から五寸ほどの観音座像が出土したというのが、出湯にまつわる謂れだそう。
なんとも日本昔ばなしのようですが、実際に「観音温泉」を訪ねるとあたりには何もなく、山間というか、山に囲まれたどんつきのような場所に突然温泉宿が現れるので、よくぞこんな辺鄙な場所にこの素晴らしい温泉を掘り当てたものだと感心します。
確かにお告げがなかったら誰もここを掘ろうとはいわないだろうなという場所なので、個人的にお告げ説は大いにあり得ると思っているのです。
さて、この魅惑の「観音温泉」ですが、一言で言えば身もココロもとろける温泉。アルカリ性の軟水の湯の心地よさをご存じの人ならその極楽度を想像してもらえると思いますが、とにかく湯が柔らかいんです。
美人の湯のバロメーターであるメタケイ酸が140mlも含まれる湯を、贅沢なほどふんだんに流れる源泉掛け流しでいただきます。肌に触れた瞬間、その滑らかな心地にうっとり。
施設の充実度も素晴らしく、広々とした檜風呂や開放的な露天に加え、深めの浴槽でジェットバスが堪能できるアメリカンバスにサウナまで、計11もの入浴施設が用意されています。スパ感覚でゆっくりと美肌の湯を楽しむ空間なので、女性は間違いなくハマるはず。
日帰り利用の場合は第3号源泉を引いた「観音プリンシプル」という施設を利用することになり、内湯と露天、そしてサウナなどが用意されています。
こちらでも十分リラックスできますが、「観音温泉」のような柔らかで優しい湯は何度も入りたいので、やっぱり宿泊して思う存分美人の湯につかりまくるのがおすすめです。
飲湯すれば、酸性に傾きがちな身体を内側から整え、便秘にも効果が高いとか。柔らかくて飲みやすい湯なので、ぜひお試しあれ。ちなみに、「観音温泉」ではこの温泉をペットボトルの飲料水として販売もしているので、気になる方はチェックしてみてください。
- 観音温泉
- 静岡県下田市横川1092-1
- 0120-01-9994/0558-28-1234
- 公式サイト
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