海の京都エリアで初夏にのみ水揚げされる幻の食材・丹後とり貝をご存知ですか。とり貝といえば、寿司ネタやお刺身でおなじみの歯応えの良いあの二枚貝。そのなかでも、京都の海で獲れる丹後とり貝は、大きさ・味ともに抜群の、とり貝の王様なんだとか!その貴重な食材の正体とは……?
大きさもおいしさも規格外!「丹後とり貝」とは
丹後とり貝を名乗ることができるのは、京都府の海で漁業者によって丹精込めて育てられた、重さ100g以上のとり貝だけ。一年の間でも4月〜7月ごろまでしか水揚げされず、さらにそのうちの旬は5〜6月のおよそ2カ月間のみというから、そのレアさがわかります。漁獲量は、年によってかなりバラつきがあるそう。自然環境によって少量しか獲れない年には、その希少さはさらに高まります。
丹後とり貝の最大の特徴は、一般的なとり貝のおよそ2倍にもなる大きさ!川から海へと流れ出てくる豊富な植物プランクトンと、それが外海に出て行きづらい湾の形のおかげで栄養をたっぷり摂って育つので、この大きさにまで成長するのだそう。豊かな海が育む、まさに自然からの贈りものですね。
一般的なとり貝に比べて肉厚な身は、プリップリの食感が魅力。しっかりとした歯応えがありながら、硬くはない絶妙な弾力です。そして味の特徴はなんといってもその甘み。噛めば噛むほど貝そのものの甘さと香りを感じることができ、濃厚な風味はまさに王者の風格です。
研究を重ねて辿り着いた養殖で、幻の食材が身近に
京都府北部の海ではもともと大粒な天然のとり貝が生息しており、幻の食材として水揚げされていました。そのおいしさから人気の食材でしたが、漁獲量が安定せずなかなかお目にかかれない年もしばしば。貴重で高価な、手の届かない食材になりつつありました。
そこで、京都府農林水産技術センター海洋センターと京都府漁業協同組合が一丸となって、前例のないとり貝の養殖方法を模索。その研究にはなんと、7〜8年もの月日を費やしたといいます!
丹後とり貝が養殖されるのは、ウキを付けたいかだから吊るされたコンテナの中。コンテナにはアンスラサイトという砂状にした鉱物が敷き詰められ、その中に種苗と呼ばれる小さな貝を入れて海に沈め、育てます。
この種苗の生産も大変難しく、安定して生産できるようになるまでに20年以上も試行錯誤がなされたというから驚きです。貝を入れる砂の種類やコンテナを沈めておく深さの研究、湾の中でもよく育つポイント探しなど研究を繰り返し、ついに!ベストな養殖法の開発に辿り着いたのだそう。
生産者さんたちの努力が実り、丹後とり貝の生産率はグッとアップ。より大きな貝も育つようになり、今や大きさが8cmを超え、重さはずっしり150g以上のビッグサイズが全体の7割ほども水揚げされるように。2008年には水産物で初めて「京のブランド産品」に認定され、ますます注目度が高まっています。
素材そのもののおいしさを贅沢に味わう。「丹後とり貝」を食べよう!
丹後とり貝について教えてくれた京都府漁業協同組合の長谷さんによると、丹後とり貝のおいしい食べ方はずばり「シンプルに素材のおいしさを生かすこと」。寿司や刺身で食べるのが有名ですが、少し火を通すのもおすすめだとか。炙ったり湯通ししたりして程よく熱をかけることで、甘みが増してとっても美味なのだそうです。ちょっと贅沢したい日の晩酌タイム、お酒の肴に…なんて素敵ですね〜。
丹後とり貝の水揚げがある京丹後市・宮津市・舞鶴市には、WEB販売を行うお店や丹後とり貝の料理が楽しめる食事処が。
豊かな京都の海に育まれた初夏限定の味覚を、お家やお店で贅沢に楽しんでみてはいかがでしょう。
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